内容説明
出会いは「草枕」のなかにあった―。カナダの天才ピアニスト、グレン・グールドが15年にわたって愛読していた夏目漱石の小説「草枕」。グールドが共鳴した漱石の人生観、芸術観とは。
目次
聖書とともに
小天温泉
『草枕』の出会い
「三角の世界」
六年目の翻訳
非人情の旅
モーツァルトという世俗
グールドの朗読
グールドの第一章
書き込み〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
22
若干、要点だけ示す吾
Sherlock Holmis
3
グレングールドの死の床には聖書と「草枕」が置いてあった、という印象的な逸話から生まれた本。著者はグールド漱石いずれの専門家でもないようで、長いエッセイといった趣きになっている(リサーチは綿密)。グールドが単なる東洋趣味の次元を超えて本格的に漱石の思想に迫っていたことを知った。ビルエバンズがジャズの即興を水墨画になぞらえたことといい、鍵盤の機械的な並びの向こうには非人情の境地が見えるのかもしれない。2019/11/09
ヤマニシ
0
「それにしても映画『砂の女』を百何十回も見たというのは、ただただ驚くしかない。グールドが砂の穴の中を録音スタジオに、外界との縄梯子を電話に見立て、自らの生き方に思いを重ねていたと考えることもできる。」(p219)2021/09/04
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