感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sapporo Shiojiri
3
東京裁判で武藤章や東條英機などかつての上官を糾弾し、その偽悪的な態度も相まって強烈な印象を残し、旧軍関係者から変節漢と批判された陸軍軍人の回想録。驚異的な記憶力で知られた筆者ならではの貴重な証言ではあるが、武藤や東條に対する批判は盛り盛りという印象。❡ 例えば、1942年の翼賛選挙に対する「翼賛壮年団〔大政翼賛会の下部組織〕の選挙干渉は激烈だった。黒幕はナチスかぶれの武藤だった」的な評価。露骨な干渉はあったが蓋を開けると非推薦人の得票率が35%に達し、挙国一致とは言い難い状況を露呈した選挙だったはず。2020/07/27