出版社内容情報
30年代イギリス外交史の実証研究は、1967年の公文書法改正により新しい段階
を迎えた。本書は、欧米におけるこの新動向に対応して、イギリスの閣議議事
録、覚書、外務省外交文書等一次資料を駆使して、第二次大戦に至るイギリス
外交の政策決定過程を精緻に分析する。
目次
序論 研究史と課題
第1部 イギリス外交と宥和の論理(「宥和政策」再検討の視角;イギリス帝国防衛の外交戦略;1939年イギリス外交の諸問題)
第2部 30年代イギリス外交の岐路―1937年(イギリス帝国と地中海;東西の危機とイタリア;チェンバレン対イーデン;1937年の国際環境とイギリス外交の戦略)
第3部 第2次世界大戦への道―1939年(ポーランド安全保障問題と帝国防衛の戦略;東南欧「平和戦線」と英ソ交渉;対独抑止対策の破綻;「平和」の戦略と帝国の代償)
補論 労働党の対外政策と統一戦線問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hurosinki
4
英国の帝国としての特質に着目し、その30年代の外交戦略の本質はオーバーコミットメントに対する国防資源の不足をいかに補うかという帝国防衛の論理にあり、反共イデオロギーや自由民主主義的価値観は附属的だったとする。外交戦略をグローバルな勢力均衡戦略(イーデン)と西欧中心の対独和解・抑止戦略(チェンバレン)とを軸に大まかに類型化(第一部)した後、37年のイーデンとチェンバレンの対立(第二部)、39年のポーランド安全保障宣言や英ソ交渉(第三部)を特に詳細に追っていく。38年のミュンヘン会談は取り立てて取り上げない。2020/08/13
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