内容説明
中原中也を、青春のノスタルジーだけで読んではいけない。鎌倉で30歳の生涯を閉じた中原にとって「鎌倉」はいかなる地であったか。
目次
鎌倉哀傷
病棟挽歌
「蛙声」考―永劫回帰、人間の運命
鎌倉の中原中也(西川マリエ;鎌倉は鉋屑の匂い―静御前、忠度、代三のことなど;詩と永遠;小林秀雄の友情―季節が流れる、城砦が見える)
著者等紹介
福島泰樹[フクシマヤスキ]
1943年3月、東京市下谷区に生まれ、早稲田大学文学部卒。69年秋、歌集『バリケード・一九六六年二月』でデビュー。「短歌絶叫コンサート」を創出、朗読ブームの火付け役を果たす。1986年11月、五十ヶ国の詩人と朗読を競い「第6回ブルガリア国際作家会議コンクール詩人賞」を受賞。ナレーターとしても活躍。「月光の会」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco夏ko10角
16
タイトルから中也が鎌倉にいたときのことがもっと分かるのかと思ったけど、そこまででもなくその点が残念。内容も既にある色んな本からの引用が多かった印象。でもこの本で初めて知ったこともあり、また中也のことを考えながら鎌倉を歩きたくなった。2014/08/07
マカロニ マカロン
13
個人の感想です:B。祝!今年読んだ本100冊目!今週末『ツバキ文具店』鎌倉読書散歩兼お花見予定。妙本寺も立ち寄るので予習。映画『ゆきてかへらぬ』(根岸吉太郎監督、広瀬すず)も見たので、「あれは散るのぢやない、散らしてゐるのだ、一とひら一とひらと散らすのに、屹度順度も速度も決めてゐるに違ひない」が印象的。『春と修羅』(宮沢賢治)に強く刺激された『星とピエロ』はじめ、鎌倉の生活が作品に確実な足跡を残している。壽福寺境内に住んでいたが、長男を亡くし、精神的に支障を来し、やがて自分も30歳で没し、鎌倉で火葬された2025/04/01
マリリン
11
「私の上に降る雪は~」絶叫する福島氏の声が、哀愁を帯びた中原中也の末弟伊藤氏のハーモニカの音色が蘇る。「私は、常々思うのだが、中原中也には、高いところから現在の私を見ている(といった)もう一人の自分がいて、そのもう一人が...」の部分を読み詩人の吉田文憲を思い出した。随所に中原中也の詩が引用されているが、『「蛙声」考-永劫回帰、人間の運命』は大変興味深い。蛙は、境界に住むのだろうか。二回引用されている中也最後の詩の「四行詩」なる最終四行はとても印象に残った。2018/03/08
みー
1
10代の頃好きで詳しい生い立ちは知らなかったので詩の解説も解りやすく興味深く読めた。予見する力は、改めて凄いなと思う。2015/03/29