出版社内容情報
『美術フォーラム21』 第8号 目次
特集:〈生と死〉と美術
単に美術作品に表現された〈生と死〉の図像や主題を扱うことに限定されず、何らかの形で広く〈生と死〉に関わる作品や作家、また美術史学の方法、あるいは美術館の誕生と崩壊(生と死)などの問題を採り上げる。(まとめ=中谷伸生)
Ⅰ 西洋美術における〈生と死〉の表象
・「生より死こそ願わしい」――ギリシア彫刻の一断面(眞方忠道)
・死を前にした人間――ヤン・ファン・エイクのヨーリス・ファン・デル・パーレ(蜷川順子)
・死と蘇生の〈物神〉――サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ聖堂奉納像(水野千依)
Ⅱ 東洋美術における〈生と死〉の表象
・生きている遺骨「舎利」――如法愛染王法を中心に(内藤 榮)
・開山の木像は誰のために造られたか(根立研介)
・こ髏幻戯――中国絵画における「生と死」の表象(板倉聖哲)
・死と滅亡の絵画《淀君》――北野恒富は、なにを“露骨”に描いたか(橋爪節也)
・身体と芸術の〈生と死〉――小出楢重をめぐって(熊田 司)
Ⅲ 美術史学・美術批評と〈生と死〉
・美術史家の生と死?――《一遍聖絵》の巻末は後補?(林 温)
・歌川国貞死絵考――浮世絵師の理想像について(岸 文和)
・〈忠魂〉の絵師と《長篠合戦図》――浮田一蕙の生と死(中谷伸生)
・「夭折の画家」評価をめぐる断章――青木繁と松本竣介の場合(田中 淳)
・「近代美術と生死」覚書(原田平作)
Ⅳ 美術館と〈生と死〉
・「死よりも生を」と美術館は叫べるか――クリスチャン・ボルタンスキーと小林正人(保坂健二朗)
・美術は「死」に向き合えるか――「メメント・モリ」再考(小勝禮子)
・食間に――現代美術における生と死を巡って(加須屋明子)
・エイズと美術――エイズは美術を変えたか:デヴィッド・ヴォイナロヴィッチの衝撃(笠原美智子)
〈資料紹介〉
・釧雲泉の岡山在住時代(守安 收)
・京都画派寄合描押絵貼屏風について(木村重圭)
〈美術随想〉
・「生と死」と芸術との関係についての個人的な感想(吉岡健二郎)
・「感じること」と「考えること」(辻佐保子)
〈トピックス〉
・海外における美術品の国家補償制度――日本での実施の参考として(蓑 豊)
・博物館-美術館の独立行政法人化――地方への波及をにらんで(北澤憲昭)
〈展覧会評〉
・「画題」の再検討が必要では?――「青春の浮世絵師 鈴木春信――江戸のカラリスト登場」展評(佐藤悟)
〈書評〉
・坂上桂子『夢と光の画家たち――モデルニテ再考』(永井隆則)
・丹沢巧『古来の文様と色彩の研究――花筏・松皮菱・卍・月の兎・鼠色・茶色――その美的感情を紡ぐ』(森 理恵)
・神林恒道『美学事始――芸術学の日本近代』(西 欣也)
〈現代作家紹介〉
・浅見貴子の水墨画(福冨幸)
・差異の発見――中村一美の絵画について(平野明彦)
・触れながら描く――光島貴之という快楽(服部 正)
・三輪美津子の近作(金井 直)
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