出版社内容情報
『美術フォーラム21』 第7号 目次
特集:印象派研究大全
1970年代、それまで純粋の芸術活動の中だけで捉えられてきた印象派を社会的存在として捉え直すという新しい側面が提示され、さらに80年代からはジェンダーや記号論など他分野との境界の相互侵入についての分析が進んでいった。このような多様化し分散していく研究の見取り図を示すとともに、今後の研究方法の指標を目指す。(まとめ=馬渕明子)
Ⅰ 作家と作品研究
・セザンヌのアトリエ百年(浅野春男)
・印象派の肖像画(岩﨑余帆子)
・流動するファサード――モネの《ルーアン大聖堂》連作に見る同一性と差異性(喜多崎 親)
・モネと壁屏画(馬渕明子)
・印象派の文脈における印・記号・身振り(リチャード・シフ/三上真理子=訳)
・「純粋」視覚のディスクール(三木順子)
Ⅱ ジェンダーと印象派
・ドガの女性イメージとフェミニズム(平石昌子)
・ベルト、メアリ、そしてマリー――印象派とジェンダーをめぐって(米村典子)
Ⅲ 批評・コレクター・画商と印象派
・印象主義と批評――ゾラ、デュレ、マラルメ(六人部昭典)
・ルノワールの《舟遊びの昼食》――第七回印象派展の批評をめぐって(賀川恭子)
・マネ「と」印象派――最近のエドゥアール・マネ研究への批判的展望(稲賀繁美)
・ある文筆家と画家たち――ジョルジュ・フェドーとその印象派絵画コレクション(ドミニク・ロブスタイン/三谷理華=訳)
・第一次世界大戦下のドガ・セール(吉川節子)
Ⅳ 文学と印象派
・ショーウインドーとしての絵画――ゾラと印象派の画家たちにおける芸術と商業(吉田典子)
・プルーストと印象主義(吉川一義)
Ⅴ ヨーロッパ諸国の受容
・ドイツにおける「印象主義」考――リーバーマンとベルリン分離派を中心に(都築千重子)
・北欧絵画と印象主義(荒屋鋪透)
・ロシアの印象主義(古田浩俊)
Ⅵ 日本と韓国における受容
・明治三十年代の日本絵画における大気・空間表現――栖鳳・大観と西洋絵画(高階絵里加)
・印象派から学んだもの(原田平作)
・「後期印象派」なる邦訳語をめぐって――岡倉天心と上田敏を中心に(川田都樹子)
・印象派と日本――高村光太郎の印象主義論(永井隆則)
・中村彝における印象派の受容――〈影響〉の様々な事実と様相(舟木力英)
・「仏展」異聞――大正末期、福岡にやって来たフランス美術(三谷理華)
・韓国における印象派美術の受容(金炫淑/朴昭炫=訳)
〈資料紹介〉
・旧松方コレクションの世紀末イタリア彫刻――レオナルド・ビストルフィ(高橋明也)
・1900年代パリ留学生の交流を生き生きと伝える資料『パンテオン会雑誌』(山梨絵美子)
・岡島コレクションとティファニー関係資料(岩井孝樹)
〈トピックス〉
・新しい「アジア」の扉――第2回アジア藝術学会韓国大会報告(萱 のり子)
〈展覧会評〉
・「前近代」なのか、「近代」なのか:高村光雲をめぐる錯誤――「高村光雲とその時代展」(大熊敏之)
・藤島武二研究の新たな課題 「藤島武二展――ブリヂストン美術館開館五十周年記念展」を見て(児島 薫)
・「ゴッホ展」(有川治男)
・「モネからセザンヌへ――印象派とその時代」展(斎藤郁夫)
〈書評〉
・田中純『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』(加藤哲弘)
・ロバート・S・ネルソン、リチャード・シフ編/加藤哲弘・鈴木廣之監訳『美術史を語る言葉――22の理論と実践』(林 道郎)
・松井みどり『アート:“芸術”が終わった後の“アート”』(金 悠美)
〈現代作家紹介〉
・透明の詩学 家住利男のクリスタル(神原正明)
・花鳥・動物画とは 大沼憲昭の個展から(高梨純次)
・風景をつくる 杉浦康益の陶の世界(仲町啓子)
・横尾忠則 普遍への歩み(宮島新一)
目次
資料紹介
特集 印象派研究大全(作家と作品研究;ジェンダーと印象派;批評・コレクター・画商と印象派;文学と印象派;ヨーロッパ諸国の受容;日本と韓国における受容)
トピックス
展覧会評
書評
現代作家紹介