内容説明
1950年代とおぼしきミャンマー。骨董屋を営む50代の独身男が、インドに幽閉されたビルマ王朝最後の王、ティーボー王が作らせた名品、金銅合金の小壺を苦心の末に手に入れる。しかし、小壺に書かれていた古代文字が「マヌサーリー」と知ってからその不思議にとりつかれ、手の甲にジェーヤーの入れ墨をした幻の美女マヌサーリー探索をつづける。
著者等紹介
ミンテインカ[ミンテインカ][Min Thein Kah]
1939年生まれ。高校中退後、駅の職員、国軍兵士、米穀仲介人、露天商、大道占星術師などの職を経て1970年代、作家生活に入る。占星術師、超能力研究・実践家としても知られ、占星術師団体エーカンタ・ビャーガラナ会を主宰、占星術専門誌、数種の雑誌を現在編集発行
高橋ゆり[タカハシユリ]
ミャンマー語通訳・翻訳者、日本語教育専門家。明治大学政治経済学部、東京外国語大学大学院(ビルマ語専攻)卒業。1982年に東京でビルマからの来訪者に会ってこの国に興味を抱く。1991年より3年間、ヤンゴンの日本大使館に勤務。現在シドニー大学大学院で近代ミャンマーの文化と思想史の研究を行う
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感想・レビュー
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sagatak
8
ミャンマーの人気作家の作。西洋合理主義とミャンマーの伝統的価値観との狭間を揺れ動く人の微妙な感情のを表すと同時にミャンマーの国の成り立ちも感じることができて楽しい一冊だった。私自身も合理的思考のループから抜け出せないが、それでも超自然的ななにものかが世の中にあればいいのにという程度は思う。そんな方にはぴったりです。ヤンゴンの街中が思い浮かばれるのもよい。今のミャンマーのひとたちにもこの本のような感情、感覚は残っているのではないでしょうか。2015/01/14
Porco
3
ミャンマーの幻想小説。ミャンマー文化も感じられつつ、日本人にも違和感なく楽しめるエンタメだと思いました。2014/12/01
cybermiso
1
珍しい、ミャンマー小説。探偵者的なストーリーで読みやすい。描写の節々でミャンマーの文化に触れられてよかった。特にインド人とミャンマー人がここまで近い関係とは思わなかった。2019/03/10