出版社内容情報
夏がきたころ、一匹の子ねこが、家族と一緒にちいさな島にピクニックに来ました。「なんて ちっぽけなところだ」と子ねこは言い、「ぼくは この おおきな世界につながってる」という、ちいさな島の言葉を理解できません。ちいさな島の「さかなに きいてごらん」という言葉に、子ねこは魚に聞いてみます。そうして子ねこが分かったことは、自分の知らないことを知る喜びと、そして信じるということ。ちっぽけだと思ったこのちいさな島は、確かに世界につながりをもちながら自分の世界も持ち、そしてこの輝く青い海に囲まれているのです。(編集企画室 U・A)
内容説明
1947年度コールデコット賞受賞。マーガレット・ワイズ・ブラウン(ゴールデン・マクドナルドはペンネーム)が、ちいさな島を舞台に語る、人と世界と自然のハーモニー。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
154
ちいさな島は平和の島。風が吹いて雲は流れ、鳥は飛び、潮はよせている。花は季節が来れば咲いて実をつけ、海からも空からも、動物も植物も休息にやってくる。ちいさな森には7本の木があり、それぞれが共存しあい、それぞれのやるべきことをやり、バランスが保たれている。…一度手を入れると元には戻らないことを知りながら、人は人のために土地を作る。自然との調和。そのサイクルを忘れると人はいつか消えてしまう。人は自然界ではそんなに強くない。過信してはいけない。ちいさな島がどんなところか想像すると、答えは風にのって聞こえてくる。2021/04/23
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
72
海に浮かぶ小さな島の四季を詩のような言葉で彩った絵本。7本の木と小さな17の茂み。一つの大きな岩。それが全て。春にはスミレと薄桃色のチャックルベリーの花。そこにはいろんな生き物がやってくる。ロブスター、アザラシ、カワセミ、カモメ、コウモリ、フクロウ……。夏のある日、一艘のヨットが島を訪れる。家族に連れられた仔猫は、魚から島の秘密を教えられる。海の底で全ての地面は繋がっているから、島は孤独じゃないことを。谷川俊太郎氏の訳。1996年9月初版。2015/03/28
yomineko@ヴィタリにゃん
63
谷川俊太郎さんの訳。大きな海にぽっかりと小さな島。平和な風景。そこへ一艘の船で仔猫がやって来た。仔猫は島と様々な問答をする。島はどうやって海の下で1つに繋がってるの?答えを聞いた仔猫の目がキラキラと輝く。世界はみんなこうやって繋がっている。最近は世界は一つ的な絵本によく引き寄せられる。とても良かった😊2023/10/05
パフちゃん@かのん変更
55
なんだか哲学的な絵本。訳が谷川俊太郎氏だから言葉も詩的。島は海に浮かんでいるんじゃなくて海の底で地面はつながっているのです。「ちいさな島でいることはすばらしい。世界につながりながら じぶんの世界をもち かがやくあおい海にかこまれて。」とある。素敵な絵本です。2017/03/11
lonesome
49
訪れた島のことを、広くて大きな海と比べてなんて小さいんだろうと言うこねこに「それが きみだってことさ」とちいさな島が応える。この作品は、絵本でもあり詩でもあるように思う。人も動物も自然や植物でさえも、地球に生きているものはみなそれぞれがちいさな島だという考え方はなんて示唆に富んでいることだろう。2015/06/21