内容説明
W・ベンヤミン、H・ミラー、ブラッサイ、佐伯祐三、J・ロート…。ナチズムと大恐慌の時代、あえて政治参加を拒んだ外国人芸術家たちは、無国籍都市パリの街路に何を見たのか?文学・絵画・写真の異分野を横断。
目次
プロローグ 宴のあと―フィッツジェラルド『バビロン再訪』
第1章 1930年代への光―無国籍都市パリ
第2章 ナチズムの台頭―亡命地の意味
第3章 危機の時代と「都市論」―亡命者ベンヤミン
第4章 フォト・ジャーナリズムの光芒―アンドレ・ケルテス
第5章 パリの眼―ミラー/ブラッサイ
第6章 都市の痕跡と写真―ブラッサイ『落書き』
第7章 壁の街・文字の音―佐伯祐三
第8章 貧困という制度―オーウェル『パリ・ロンドンどん底生活』
第9章 浮浪者の哲学―ヨーゼフ・ロート『聖なる酔っぱらいの伝説』
エピローグ 物語られた「時代」―金子光晴『ねむれ巴里』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
49
1930年代のパリ論の新機軸大作だと思う。大恐慌-ナチス-大戦と続くこの時代は、全てがファシズムに巻き込まれ、抵抗するにしても政治活動とならざるを得ない。20年代のシュルリアリズムのパリ/「自由と芸術の都」パリに比べ、30年代は「傑作なき時代」とされてきた。著者は、この通説に抗して、パリに住む亡命者など外国人の眼からパリのもう一つの姿を示し(ヴィッシー政権のユダヤ人迫害の仏政府の公式な謝罪を踏まえた研究動向が底流)、芸術的史(文学/絵画/写真の横断)の大胆に書き換える。豊かな「知られざる傑作」の数々を。2015/01/05
ココア
0
課題の小論のために読んだ本。1930年代にパリで活躍した亡命者たちを通して(また、その貧困の様相を通して)パリという街が持つ輝かしさといかがわしさを論じた本だと私は思った。一冊の本にするには無理やりな統一感だった気がするが、いくつか印象に残る話が盛り込まれており、『エミール』の話については目頭が熱くなった。パリとは何か。娼婦のようだ。人に夢を見せ、拒絶し、けれどどこか悲しくて優しい。それだけで物語を生む街の力がそこにはあるのだろう。2010/01/15




