内容説明
気候危機は現実化しています。世界の約束は、産業革命からの気温上昇を1.5℃未満に抑えることです。脱炭素・脱化石燃料化を進めることが唯一の発展の道で、脱炭素市場を巡る大競争が始まったのです。省エネ・環境対策先進国であった日本は、再生可能エネルギーや脱化石燃料で遅れをとり、今や気候・産業政策はガラパゴス化しています。どうすれば脱炭素で豊かな経済にできるのか。地域の資源や人材や文化を生かした人間的な発展は可能なのか。本書は世界の動向を俯瞰しつつ日本の気候政策と経済を検証し、脱炭素社会への経済・社会の抜本的転換を訴えます。
目次
1 はじめに 日本の気候変動政策への違和感―ガラパゴス化する日本の気候・産業政策
2 サステナビリティとSDGsを考える
3 戦争と気候危機 ロシアのウクライナ侵攻で懸念される環境・気候破壊
4 資本主義をやめないと、気候危機は止まらないのか?
5 イギリスでのCOP26の結果が示すもの
6 ドイツのG7サミットから 日本政府は「気候クラブ」にどう関与するか
7 アンモニアと水素は脱炭素社会の切り札になるか?
8 地域からの脱炭素化への取り組み
9 二〇五〇年ネットゼロ社会移行の課題―主としてガバナンスの観点から
10 コロナ後及びカーボンニュートラルに向けての新しいエネルギー政策―「参議院資源エネルギー調査会2021.4.21参考人として意見陳述」より
11 おわりに―「わたし」の気候危機
著者等紹介
松下和夫[マツシタカズオ]
1948年生まれ。京都大学名誉教授、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー、国際アジア共同体学会理事長、日本GNH学会会長。東京大学卒業後環境庁(現環境省)に入庁。米国ジョンズホプキンス大学大学院修了。環境省、OECD環境局、国連地球サミット上級環境計画官、京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)など歴任。専門は環境政策論、持続可能な発展論、環境ガバナンス論など。地球環境政策立案とその研究に先駆的に関与し、気候変動政策、SDGsなどに関し積極的提言(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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