内容説明
近代を複合し、その葛藤と重層の力を書記した詩人、萩原朔太郎―。ポピュラーソング・映画・写真等、声と映像のメディアを横断しつつ生成する朔太郎テクストを、彼が希求し続けたまぼろしの近代/日本を背景に読み解く。
目次
二つの世界戦争のあいだに
第1部 詩語としての日本語と朔太郎(「リズム」から「調べ」へ―詩論における日本語との葛藤と夢想;ひびきの美学―萩原朔太郎の文語詩観)
第2部 声のメディアと朔太郎(ソングの誘惑―昭和流行歌の時代と晩年期の詩観;複製技術時代の聴覚―萩原朔太郎と小林秀雄をめぐって)
第3部 大衆社会状況のなかの朔太郎(変貌する「群集」/「私」―「群集の中を求めて歩く」をめぐって;猫町温泉―近代(裏)リゾート小説としての「猫町」)
第4部 視覚の近代と朔太郎(網膜のスクリーンに投射されるもの―萩原朔太郎初期詩篇と映画;くり返す亡霊たち―ベルクソン・死霊の女・チャップリン;無名化=普遍化される郷土―萩原朔太郎撮影写真をめぐって)
全集未収録―萩原朔太郎資料紹介(詩話会の解散に就いて;男やもめの心境を訊く)
著者等紹介
安智史[ヤスサトシ]
1964年茨城県生まれ。立教大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在愛知大学短期大学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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