出版社内容情報
タバコが原因の病気での死者は9万5000人、直接・受動喫煙から発生する医療費は1兆3086億円と推算されている。喫煙の、健康被害と疾病・治療への影響の全容を網羅した画期的辞典。好煙権論者の〈たばこを吸う自由〉キャンペーンや、喫煙問題をマナー問題にすり変えようとする日本たばこ産業のCM攻勢が激しい昨今、医療従事者の患者指導用、学校図書館にも是非備えて頂きたい1冊です。
発刊によせて /松崎道幸
第1部 えっ、こんな病気が「タバコ病」!?
第1章 健康被害全般と死亡
第2章 精神(こころの病気)
第3章 呼吸器のがん(のどと肺などのがん)
第4章 呼吸器以外のがん(からだ中のがん)
第5章 呼吸器(のど鼻と肺の病気)
第6章 循環器(心臓と血管の病気)
第7章 脳、神経(あたまと神経の病気)
第8章 消化器(口や胃腸などの病気)
第9章 内分泌、代謝、血液(甲状腺の病気、糖尿病、血液の病気など)
第10章 整形外科、外科(骨や関節の病気、外科手術への影響)
第11章 泌尿生殖器(腎臓と尿路、生殖器の病気)
第12章 妊娠・出産、新生児(お母さんと赤ちゃんの病気)
第13章 小児(こどもの病気)
第14章 アレルギー、皮膚(アレルギーとお肌の病気)
第15章 感覚器(眼や耳などの病気)
第16章 その他の健康影響、受動喫煙の研究について
資料】第1部引用文献
第2部 「タバコ病」がなくなる日
第1章 私の「タバコ病」体験
1日120本、毎日吸っていた僕/コロンビア・ライト
【発刊によせて】より 監修:松崎道幸
──広い分野の最新の医学知見を証拠に基づいて展開した加濃氏の博学強記はわが国のタバコ問題研究家の五指に入るでしょう。読者はまず、著者の網羅した能動喫煙および受動喫煙関連疾患の多さに驚くでしょう。しかもそれらのすべてが根拠となる論文およそ700編による裏付けを持っており、一目で理解できる図表も豊富であることにも注目してほしいと思います。「正しさ」と「わかりやすさ」が統一された良書です。
本書を読んでタバコがほとんどすべての病気と関連することを知った禁煙無関心期の喫煙者には、禁煙への関心が芽生えるに違いありません。 しかし本書の特質は、単に豊富な情報量にだけあるのではありません。読者は、疫学の基礎知識の解説と、「タバコはアルツハイマー病を予防する」、「フィンランドでは禁煙しても病気が減らなかった」など事実をねじ曲げて流布される俗論に対する反論を通じて、禁煙の波の広がりへの意図的な妨害をはねのける創造的思考力を得ることが出来ます。
本書はわかりやすい表現で書かれました。タバコ問題に関心があり、タバコの害のない社会作りを切望する小学校高学年以上の一般市民の方々が読まれ
2月に出版された、著名作家人らの「禁煙=正義」図式への抵抗、も〈雰囲気としては〉理解できます。が、実際には路上で、駅のホームで、満員電車の中で、煙やそのニオイに苦しむ人がいます。急増する小児喫煙も、大きな問題でしょう。本書が自分と大切な人をケムリから守りたい人の武器になれれば、と思います。