出版社内容情報
序文 過激派は自由でないから哀しい
――池袋ジュンク堂書店でのトークセッションから
川口君虐殺問題とカクマル運動の陥穽
一、川口君虐殺の何が問題とされなければならないか
二、川口君虐殺に表出した血迷えるカクマルの本質
三、虐殺後の指導部の対応にみる官僚主義と自己保身
(補)カクマル運動の右翼日和見主義の根拠
共産主義的主体と党風
一、二つの主観主義を排し、先進的アジア人民に学ぶということ
二、対象を変革しえる主体の問題
三、総括の仕方などにおいてプロレタリア的体質を持つということ
四、スターリン的党風の解体と人民に奉仕しえる党風
3・26戦闘精神を発展させ、武徳の思想を獲得せよ!
一、3・26戦闘で主体に問われたものは何か
二、クラウゼヴィッツ『戦争論』における「軍の武徳」の概念
三、われわれ独自の戦争の論理としての「武徳の思想」
四、武徳は何によりつちかわれるのか
五、3・26戦闘精神をひきつぎ、5・20戦略的総決起を実現せよ
革命運動のスターリン主義的歪曲を克服せよ
一、ソ連軍のアフガニスタン侵攻にみられるスターリン主義の反人民的本質
二、スタ、農業建設の歴史的経緯
五、三面紅旗の革命的側面と劉―鄧路線のブルジョア性
六、毛沢東の限界をふまえ何を学ぶか
七、鄧小平路線の現在と破綻の必然
武装を内包する革命党
一、八三年五・二二集会勝利の地平として捉え返すべき諸点
二、対日帝実力闘争路線の展開で内ゲバ党派を逆規定せよ!
三、第四インターの右翼日和見主義と三里塚二期決戦からの逃亡
四、八三年春夏大攻勢の圧倒的貫徹により克ちとるべき主体的課題
戦旗派建設の今日的位置
一、八〇年代主流派にむけての課題
二、「党の統合」をめぐる試練派の思い違い
三、「ブント主義の止揚」の闘いの歴史性
四、レーニン主義党への発展をめざした理論提起
五、第二次ブント崩壊の根拠は何か
革命戦争を生き闘う指導主体のガイスト
一、共産主義的主体形成の本質と現実的位置
二、主体形成、自己変革の前提となる内的モメント
三、革命家としての死生観と主体形成
四、倫理的主体形成と禁欲主義の限界性
五、現場に対し責任を負う主体性の確立
六、まとめにかえて
十一月の教訓――人民的大義を守る革命党の創造のために
一、問題をいかにとらえるの
【本書「はじめに」より】
著者は半生を自伝的につづった『破天荒伝』『大逆のゲリラ』(太田出版)を二〇〇一年と二〇〇二年に上梓しましたが、全共闘世代の反権力闘争を知らない若者達にも両書は喝采をもってむかえられました。
「どうしてそこまでがんばれたのか」とか、「どんなカルト的な内容で意志統一してたんですかね」などという質問攻めにもあった程です。この好評に応え、ここで思い切って八〇年代の戦旗・共産同の意志統一の内容を公然化しようと、本書の刊行は企てられました。
歴史の事実として一九八〇年代から九〇年代にかけて、東欧やソ連でマルクス主義陣営は次々とその国家体制を崩壊させていき、唯一のマルクス主義を言う著者等もまた歴史のクズカゴに放り込まれて行きました。如何に資本主義に矛盾があろうと、だからといって計画経済の社会は成立しないのだということが歴史的に示されたのです。その挫折の記録ともいえるものが本書です。
知ってのとおり著者は、本当のマルクスは既存のマルクス主義とは異なるといったパラダイムからは、とっくの昔にテイク・オフしています。そうした点で本書につづられた諸内容は、別に私の残骸ではないが、ある特定のイは、ベトナム反戦闘争を契機に革命運動に飛び込みました。しかし革命の勝利のためには官僚も機構も必要なのだというパラドックスに突き当たり、なおかつソ連邦の崩壊に直面するなかで、遂には、権力をめざさない運動しかないという了解に達します。
各論文の経緯については実践社刊の『自由を翔る』を参照してほしいのですが、日本共産党とも革共同両派とも異なる、第一次ブント以来の「人間的自由とは何か」をテーマとする異端のマルクス主義を、読者は本書をつうじ見るだろうと思います。読者は、そこで共産主義という用語を民主主義にかえさえすれば、別にそんなに特異なことを本書は言ってないことに気づく筈です。あるのは熱血の想いであり、まぶしい位に気高く光っている若者のこころざしであって、その意気込みは高く評価されるものと思います。
読者は本書をつうじ、その軌跡をたどりつつ、熱い想いと高いこころざしが今後めざすべき方向を、読者なりの了解による新しいオルタナティブとして見出してくれるでしょう。著者の思想的転回の説明として、『大逆のゲリラ』出版に際してのトークセッションをあわせて掲載しておきます。