出版社内容情報
生命が誕生して40億年。その長い歴史の中で、全ての生物 は環境に適応し進化してきた。壮大な進化の軌跡には、われわれ人類が生きていく大きな指針が潜んでいる。今号では生物学・生態学の視点から現代社会の問題を考える特集に挑戦した。
〔PHOTO 里山〕棚田にて
【特集】生態学から考える
群淘汰説を覆すサル学の確立/杉山幸丸
動物行動学からみる霊長類の「攻撃性」/山極寿一
自然科学と社会科学を架橋する進化論の挑戦/佐倉 統
DNAによらない生物進化があるのでは/池田清彦
アフォーダンスとダーウィン進化論の接点/佐々木正人
生物はみな固有の時間を生きている/本川達雄
廣松渉没後8年 主著4冊、中国訳刊行によせて
マルクスからはみ出した処に廣松哲学の魅力と可能性がある/野家啓一
日常経験の廣松的解釈は世界の見方をかえさせる/熊野純彦
社会主義体制成立と崩壊の根拠/岩田昌征
行きづまるアメリカの世界支配/荒 岱介
浜岡原発にメルトダウンの危険/伊藤 実
監視カメラでは犯罪は減らない/浜島 望
36年目の成田暫定滑走路開港/今井俊政
中年は荒野をめざす/岩奈三平
【連載】現代世界の危機とアダム・スミス第2回
失われた経済のバランス回復力/田中正司
自然科学と社会科学の結合を唱えたウィルソンの『社会生物学』の提起から30年近くがすぎようとしている。
生物学、生態学の論争の深化に、社会科学が無自覚のまま、ドグマを振り回す時代はもう終わった。日本を代表する生物学、生態学の論者たちに話を聞きながらまとめてみた。門外漢でも読みやすい内容をめざして作ったつもりだ。