内容説明
若きウィトゲンシュタインへのショーペンハウアーの影響を、『論考』の存在論、論理学、科学、美学、倫理学、神秘主義という基本的テーマ全体にわたって、文献的かつ思想的に徹底分析した刮目の研究書、ついに完訳、本邦初公開。
目次
序論 ウィトゲンシュタインの不安
第1章 言語と哲学
第2章 世界の喪失
第3章 永遠の現在
著者等紹介
ワイナー,デイビッド・エイブラハム[ワイナー,デイビッドエイブラハム][Weiner,David Avraham]
イスラエル在住。ブラウン大学でB.A.を、イェール大学でPh.D.を授けられた。The Shalom Hartman Institute of Jerusalemの所員を歴任。1992年の時点でBen‐Gurion University of the Negevで哲学を講義していた
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感想・レビュー
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脳疣沼
2
ショーペンハウアーを読みたくなる本。ショーペンハウアーの勉強になった。しかし、本の趣旨(ショーペンハウアーのウィトゲンシュタイン への影響)としては微妙で、影響の論証が雑だし、こういうのはなんとでも言える類の話だと思う。ただショーペンハウアーを通してウィトゲンシュタイン を読むというのは、影響云々を考えなければ、とても面白い。2018/08/23
田蛙澄
1
ショーペンハウアーの表象論のみを受容し、意志論を拒絶したウィトゲンシュタインがどのように認識論と倫理説を構築したかを草稿と論考から読み解いていてとても興味深かった。認識に限界を引くショーペンハウアーの表象論と論考の論理の限界についての思想が関係してるのはそれほど不思議でなかったが、独我論やストア的、あるいはよりキニク派的な倫理観も、ショーペンハウアーの表象論のみの受容という側面から読み解けるというのは新鮮な驚きだった。2018/05/27