内容説明
デビー・ワインストックは、活発でがんばり屋さんの女の子です。彼女にとって、ピアノを調律する音は、もうそれだけで、他のどんな音楽よりも最高に美しい音楽でした。デビーのおじいさんのルーベン・ワインストックは世界一のピアノ調律師です。仕事に厳しく、そしてデビーをとても愛している、素晴らしい人です。デビーは、そんなおじいさんのような調律師になる決心をしました。M.B.ゴフスタインはこの作品でも、シンプルな絵の中に、喜びや哀しみ、純粋で、時に無茶な子どもならではのひたむきさを、愛情を込めてていねいに語っています。細かいところまで限りない優しさで表現し、絵はいつものように、文章と完ぺきなハーモニーを奏でています。
著者等紹介
ゴフスタイン,M.B.[ゴフスタイン,M.B.][Goffstein,M.B.]
1940年米国ミネソタ州セントポール生まれ。ベニントン大学卒業。ニューヨークタイムズ紙・年間最優秀児童絵本賞(’72年)、コルデコット賞次席(’77年)などを受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
103
おじいちゃんみたいな調律師になりたい。でも祖父はデビーにピアニストになってほしいと願う。ある日町を訪れたピアニストの演奏にデビーは何を思うのか…?いきいきとしたデビーの姿に、夢中になるって素晴らしいなと思う。絵は少なくて、シンプルなモノクロの描線。その分、文章の方は色とりどりの表現なのも読み手のイマジネーションを掻き立ててくれる。デビーとおじいちゃんの一日の始まりのシーンが好きだ。『ゴールディーのお人形』とともに職人さんへのリスペクトが感じられる。2018/02/02
sin
58
自分のやりたいこと⋯自分のやりたいことに出会えると云うのはなんて運がいいのだろう。それは大切に思える人との出逢いの様で、それでいてもっと自分自身を高めることの出来る幸せな事だと思う。おじいさんは孫のデビーにピアニストになって欲しい⋯デビーはピアニストになるのがイヤだからではなくピアノ調律師になりたいからピアノに向き合いたいと思っている様で、その一途な思いを伝えようとする。そう、将来なんてわからないから今やりたいことに打ち込むことを認めてあげれば良い、諦めない限りその想いは叶うだろう?2025/04/20
ゆのん
53
【児童書】大好きなゴフスタイン。息子夫婦の忘形見の孫娘デビー。世界一のピアノ調律師であるおじいさんのような調律師になるのが夢。おじいさんは孫娘にピアニストになって貰いたいのだが…。デビーに対して抱く大きな愛情にジーンとしてしまう。デビーがおじいさんの後を継ぎ世界一のピアノ調律師になる日が来るように、2人が少しでも長く一緒に居られるようにと願いつつ読了。1752019/05/29
♪みどりpiyopiyo♪
49
詩的で落ち着いた物語に、思わず微笑んでしまうような線画が添えられた 素敵なご本を読みました。 ■真摯に仕事に取り組み、きちんと評価されている職人と、その仕事を見つめる小さな孫娘のお話です。仕事に厳しく、そして彼女をとても愛しているおじいちゃん。周りの人達もみんな愛情に溢れていて、心がほわっとします。「人生で自分の好きなことを仕事にする以上に幸せなことがあるかい?」■物語が 静かに丁寧に進んでいくのが心地よくって。最後に調律の道具の絵も。(1970年)(→続2017/08/11
Rosemary*
48
【児童書・絵本で寄付しましょう♪】 デビーは、両親をなくしてから世界一の調律師であるおじいちゃんと二人暮らし。周りの人の心配もよそに健やかに暮らしている。おじいちゃんは,デビーにピア二ストになってもらいたいが、当の本人は、尊敬するおじいちゃんと同じ調律士になりたくてしかたがない。小さくても自分をしっかり持っていてぶれないデビーは、素晴らしい。大人の期待と子どもの夢は、つい対立しがちですが、周りの大人たちの温かな見守りで肯定されていく。穏やかでいて深い愛情に溢れた作品でした。シンプルな絵も素敵です。2014/06/29