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ナガサキの郵便配達

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  • サイズ 46判/ページ数 253p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784915743160
  • NDC分類 936
  • Cコード C0032

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

108
長崎で郵便配達中に被爆し重傷を負い、国内外で核兵器廃絶を訴え続けた谷口稜曄(すみてる)。英のフリージャーナリスト、ピーター・タウンゼントが書いた彼のドキュメンタリー。国語教科書に掲載されたにも関わらず絶版になり、今回賛同者の寄付により復刊した。日本語訳では稜曄が「スミテル」になる。その響きの柔らかさ、儚さ、哀しさ。目を背けてはいけない、彼の爛れた背中。原爆投下を決めた、人の醜い虚栄心への怒り。淡々と書かれる断罪は、悪魔に言い訳を許さない。静かに迫り来る平和への力。美しい装丁に思わぬ廉価。想いを受けとる。2018/09/08

へくとぱすかる

60
2018年8月9日発行。それが何の日か、説明が必要な世の中になっては困る。終戦前の各国の政治家たちの行動や思惑を描く文章に、長崎のひとりの少年の生い立ちがはさまれ、語られていく。戦中の窮乏の中でも、郵便局に勤めていた平穏な日常。その日を境に世界が一変する。かろうじて生きた彼を、痛みと苦しみがたえず襲い、死なせてほしいとまで叫ぶ日々が続く。その後退院・再就職しても体調は戻らない。被爆者への冷たい視線、わが子へのカミングアウトなど、苦しさは平和を迎えてからも続いた。どうかナガサキが最後の原爆でありますように。2021/05/30

風に吹かれて

18
 タニグチスミテル(谷口稜暉さん)が長崎で被爆したのは16歳のときで郵便配達をしていた。死を免れたものの3年以上もうつ伏せのまま病院のベッドで過ごした。退院後も背中の皮膚と筋肉の間に腫瘍ができるなど苦しい生活が続いた。なぜ自分は生きているのか、それは身をもって原爆の惨たらしさを示し核爆弾の廃絶を訴えるためだ…。  本書は谷口さんの半生とともに、原爆が投下されえるまで長崎が街としてどう発展してきたのかも記述されている。人々が育ててきた街である。素敵な街と人々。そこに原爆が落とされた。 →2023/08/12

Ise Tsuyoshi

6
16歳で被爆し、真っ赤に焼けただれた背中の写真が「赤い背中の少年」として知られる故・谷口稜曄さんの半生を描いた本。80年代に出た邦訳は仏語版からの翻訳で、元の英語版とはだいぶ違っており、完全な邦訳は初めて。被爆やその後の困難を丹念に追った描写は今読んでも凄い。父の背中が他人と違うことにショックを受けた子どもたちと谷口さんが向き合う場面は、谷口さんのメッセージが凝縮された感動的な場面である。「僕らの町が原子爆弾攻撃を受けた最後の町でありますように」。「長崎からの祈り」とともに読み継がれていくことを強く願う。2018/11/09

マリアセシリア

4
映画を観てから本書を手に取った。原爆に関する本は、いろいろ読んだが、これほど原爆の「音」「熱」「光」「風」等を感じたことはない。もちろん想像を絶するが、その凄まじさは「無」にも等しい。ただただ恐ろしい。 しかし、また、想像を絶する苦痛に耐えながら、生を全うしたスミテルさんを思うと何度も自然に涙が溢れた。著者の言葉どおり、スミテルさんを聖人と仰ぎたい。ご存命であれば、迷わず会いに行ったろう。スミテルさんと、原爆について、もっと知りたくなった。2023/02/02

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