内容説明
「ソ連」で若き日の32年間を、「アメリカ」で壮年の23年間を過ごし、55歳でその生涯を閉じたノーベル賞詩人ブロツキイ。東西陣営の両端から現代社会をアイロニカルに観察するという稀有な経験こそが、戦後の文化的廃墟から出発した彼を、まさに世界的な大詩人へと押し上げることになる。ブロツキイの遺したテクストを、その重要なキー概念ごとに読み解く。
目次
第1章 アフマートワを継承して―ブロツキイの「ディードとアエネーアス」における古典性
第2章 ブロツキイの“帝国”論―詩「ANNO DOMINI」における父性原理を中心に
第3章 眩惑するアメリカ―ブロツキイの移住から同化まで
第4章 「ローマ・エレジー」論
第5章 ブロツキイによる「ローマ・エレジー」の自己翻訳について
第6章 「ウラニアへ」論―W.H.オーデンとの比較から
補章 ヨシフ・ブロツキイのユダヤ性
著者等紹介
竹内恵子[タケウチケイコ]
1973年、東京都生まれ。お茶の水女子大学文教育学部、東京大学文学部を経て、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科研究員(現代文芸論研究室所属)。主な論文に、「“遍歴”の停止―ブロツキー『オーガスタに寄す新しい詩』の分析」(日本ロシア文学会報告奨励賞受賞)など多数。ロシア・東欧の亡命文学を中心として、その現代的意義を捉え直している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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