感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コマイヌ
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原題おどろかざる鳥たちの国、要するにペテルブルグ北部の風俗記、オーチェルク。タタールの軛を経験しない中世ロシア、正教ではなく分離派、それに異教が混じる。歴史背景がちゃんと書いてあるのでまともに取り扱えてとても面白かった。2016/07/18
宵子
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二十世紀初頭に書かれた北ロシア(カレリア地方、フィンランドとロシアの間にある)へ行った筆者の記録。基本的に産業は漁業で森が多く、当時のロシアでは失われていた異教的な精霊や妖怪のようなもの、呪術的存在もでてくるので、ある意味ロシアの魂の故郷的な場所らしい。フィン系住人が見たら、怒るかもしれんが。しかし、いくら呪術師が何もしないで立っていろって行ったからとはいえ、何日もいなくなった幼い娘が見知らぬ男二人に引きずられて来たら、何か言いそうだけどな。杜子春じゃないが。しかも、その後娘は精神害したみたいだし。2013/05/19
qoop
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かつて中世ロシアの生活が残ると云われた北方のセーヴェル地方。およそ100年前にその地を訪ねた著者による旅行記は、漁師や猟師の厳しい生活、泣き女、呪術師、迫害された信徒たちの共同体…といった民俗、宗教の在り様を現代に伝えてくれる。どんな点が中世ロシアであり、他のどの点がその土地固有の民俗なのかは、浅学の身では本書からでは判らなかったが、厳しい自然環境の中で育まれた生活様式の中に、ロシア都市部の人々は自身の源流を見たのだろう。2013/03/17