内容説明
中国は漢民族の国と、理解されている。しかし、考えてみれば、漢民族の形成は漢代以後のことである。それ以前の主役は誰か?!この謎を解くのが遊牧の民・羌族の存在である。彼らは炎帝神農氏を生み、中国初代の王朝・夏を築いた禹を世に送り出した。歴史上に名高い周の武王、秦の始皇帝も羌族と密接なかかわりを持っている。本書は最新の資料、文献を駆使、また四川省の現地に羌族の後裔を訪ねることによって、3000年以上に及ぶ羌族の歴史を解明した貴重な研究だが、それは半面において、漢民族の形成過程のみでなく、チベット族や雲南の少数民族諸族の源流をも解き明かしている。また、羌族の盛衰を知ることは、過去において民族の対立、抗争と融合がどのように演じられたかをも理解しうる、貴重なデータである。
目次
序章 石〓に住む人びと
1章 羌族との出会い
2章 神話と伝説の世界で
3章 蚕叢と夏禹の周辺
4章 「殷周革命」のころ
5章 秦の全国統一
6章 漢代は受難期
7章 大雑居、大融合の時代
8章 隋、唐から宋へ
9章 岷江流域の羌族
10章 盛衰をどうみるか
終章 抗争と融合のあとに
著者等紹介
中野謙二[ナカノケンジ]
1931年富山県高岡市生れ。1954年東京外国語大学卒業。毎日新聞社に入社。1970年ソウル支局長。1973年香港支局長。1976年北京支局長。1979年論説委員。国際事情、とりわけ中国問題の取材と報道、論評に当たる。1986年国立高岡短期大学教授。1989年東海大学教授。2002年定年退職
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