内容説明
郷愁をうみだすもの、虚無をおこすもの永遠を忘れさせようとするもの…宇宙的栄光の名のもとに語られる28片の「見えない文学」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
madhatter
1
都市と宇宙を主題とする幻想ショートショートとも、それぞれが緩い関連性を持つ連作短篇集とも取れる。内容的には、稲垣足穂や長野まゆみを思い出した。ただ、同時に幻想性の下に風刺風味を利かせてあるため、硬質な美を堪能するばかりではなく、考えさせられる点も多い。例えば、ネオンの人工的な輝きと、天体の煌めきをそれぞれに美しいものと見なしながらも、お互いがお互いに取って替わることができない、どちらも唯一のものであるという思いが、「恐竜座と機械学者」の結末にあらわれているのではないか。2011/05/24