内容説明
平安遷都1200年、いま風の画家・中島潔の絵筆で甦る姫君、女君。王朝女の心を現代の感覚でとらえ、女の誇りと哀しみを独特の手法と色づかいで表現した清新で叙情ただよう画集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コニコ@共楽
23
『源氏物語』は国宝の「源氏物語絵巻」が有名。その素晴らしさもさることながら、中島潔の描く『源氏物語の女」たちの美しさ、可憐さ、儚さには心奪われるものがありました。軸装として構成された絵には、一瞬現れた本心が垣間見られ、自然との調和も感じられます。特に夕顔の儚さに大胆な朱色を差しているのが、生きたいと呟いているようでした。2023/06/25
めえめえ
5
日本画家中島氏の画集。平安時代の装束は残っていないため当時の色は想定しながら再現するしかないようです。赤系の浅蘇芳も好きだけど、青系の縹に合わせた緑の葉がまた映えるのです。夕霧の頁の樺桜は華やかながらも、もののあわれを感じさせます。童顔の女性にシブい茶系の着物もいいかも~。元々軸装なのかも知れませんが、額縁に入れて飾りたほど素敵な画集でした。2016/09/10
maekoo
3
柔らかな童子と自然の風景の画で有名な中島潔画伯の源氏物語を題材にした美しい画集です。 掛軸用の軸装の画に挑戦した斬新で雅な美しい絵で、其々の王朝女(びと)の心情も捉えた絵になっており、その姫や帖に関連した花や植物と共に、襲の色の合わせが絶妙に描かれていて、その姫と帖を美しくそして哀しく描いています。 風の画家の名に相応しく画面に漂う空気感も表現されており一見の価値があります。 巻末に里中満智子氏の寄稿が掲載されています。2021/07/03