内容説明
本書は、文化批判の病理に関する研究である。この研究は、近代ドイツの主要な3人の批評家の思想や影響力を分析することによって、ある特定のタイプの文化的絶望の脅威やジレンマを明らかにしようとしたものである。
目次
1 ポール・ド・ラガルドとゲルマン宗教(学問人としての批評家;反近代の理想主義;ゲルマン的宗教;ゲルマン民族;ドイツ教育の腐敗;蘇った予言者)
2 ユリウス・ラングベーンとゲルマン的非合理主義(敗北の批評家;芸術と近代批判;芸術、政治、英雄民族;ラングベーンと1890年代の危機)
3 メラー・ヴァン・デン・ブルックと第三帝国(流浪の批評家;耽美主義者の政治への転向;右翼の良心;第三帝国へ)
結論 理想主義からニヒリズムへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
こちらは大学教授ではない保守系知識人とナチズムとの関係。自由主義、議会民主主義、科学、合理主義、資本主義、都市生活、ユダヤ人などを嫌悪するのは似ているが、その思想は理屈より漠然とした不安や怒りへの訴えに頼る度合が高い。それゆえに、大学教授と大衆、観念論哲学とナチズムを繋ぐ媒介的な役割を果たす。保守とはいえ現状に何の利害も持たない根なし草で、徹底した現状否定主義者。その革命活動は、かつて存在したこともない過去を描き、未来にその過去の到来を予言するという宗教行為を、怪しい哲学用語でくるんで時局論に適用すること2019/01/18