内容説明
本巻はとくに政治過程研究の視座から政治学の最新断面図を描き、そこでの問題状況をできるかぎり明快に解くことを意図している。第一に、入力過程における政党、圧力団体、市民参加をめぐる諸問題と、政策形成・執行過程における官僚をめぐる諸問題の解明にとりくんでいる。第二は、政治過程研究の動向とそれをめぐる今日的問題状況の確認―ここでは1970年代なかばころから注目を集めてきたコーポラティズムの問題と、政策過程研究の「最現在」にとくに目を向けた。第三に、21世紀へ向けてのデモクラシーの政治過程をもっとも基本的に条件づけ、さらにはデモクラシーの「パラダイム転換」を不可避にするとみられる社会的・政治的変化と、政治過程に対するこれらのインパクトの諸相―とりわけ重要な高齢化の政治的含意についてとりあげ、注目した。このように現代政治過程の諸問題の解明にとりくんだ本書は、政治関連の分野の方々に必読の書である。
目次
第1章 政党政治の論理―政策選択の問題を中心にして
第2章 多元主義・圧力政治・デモクラシー―アメリカの場合
第3章 現代民主政と政治参加
第4章 官僚制問題への分析視角
第5章 地方政治システム論
第6章 高齢化社会の政治とデモクラシー―その可能性について
第7章 現代日本政治のコーポラティズム化―労働と保守政権の二つの「戦略」の交錯
第8章 政策過程研究のフロンティア