内容説明
歌をうたおう、ホシムクドリはおもった。こうやってみわたせばせかいはすてきなものにあふれているという歌。それをみんなのまえでうたうんだ。ナラの木にすむキツツキにはなしてみた。そういうことなら木についてかならずうたってもらいたい、とキツツキは言った。天と地のあいだにぴったりとおさまってどんなふうに空をささえているか。気をつけていると、みえてくるから。オランダの権威ある児童文学賞、銀の石筆賞受賞。
著者等紹介
ウォルタース,オクタヴィー[ウォルタース,オクタヴィー] [Wolters,Octavie]
オランダの作家、版画家、イラストレーター。大学で法律とオランダ語・オランダ文学を学び、2016年に小説『Voorland』で作家としてデビュー。2020年には自身のうつ克服の過程とコロナ禍のオランダを切り取った『Slot』を発表。3作目、初の絵本となる本書は、オランダ語の優れた児童書に贈られる「銀の石筆賞」を2022年に受賞したほか、各国で翻訳刊行され、さらに2024年のIBBY(国際児童図書評議会)オナーリストに推薦されるなど、国内外で高い評価を得ている
塩〓香織[シオザキカオリ]
翻訳・通訳者。オランダ語、英語、ドイツ語の翻訳を手がける。オランダ南部、ベルギーとドイツとの国境近くに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
153
モノクロ版画に黄色が映える絵本。豊かな森を軽やかに飛びまわり、キツツキ、カワセミ、コマドリなど、たくさんの鳥に話しかけている。この星を支えているすべてのものへの感謝を歌で伝えるために。作者の住むオランダの街には、今年も北の空からホシムクドリがやってきたのだろうか。夏羽の光沢、星状の斑点、季節によって色が変わるという印象的な黄色いくちばしを版画にして残したかったのだろう。やさしい瞳のフクロウに教わった夜、闇はあらゆる色が混じりあっている、その趣深さをどう歌で表現したのだろう。森の囀りに私たちも癒されている。2025/02/11
Roko
30
様々な鳥たちから、木についてとか、夜の色の複雑さについてとか、いろんなリクエストをもらいます。それぞれが大事だと思っていること、愛していることをホシムクドリに託したのですね。ホシムクドリが歌ったのは、どんな歌だったのかしら? #ホシムクドリがうたう歌 #NetGalleyJP2025/02/03
anne@灯れ松明の火
27
新着棚で。色数を抑えた表紙は、少し地味な印象。版画だそうだ。でも、抑えてあるからこその美しさもある。黄色い嘴うや足が映えている。初めはスルーしていたが、気になってきて、読んでみた。「せかいはすてきなものにあふれているという歌」を歌いたいと思ったホシムクドリ。いろんな鳥たちから歌詞に入れたいものを聞きまわる。出来上がった歌は、大切なものをいっぱい詰め込んだ、豊かな歌。鳥だけでなく、私たちも一緒に歌いたい。2025/02/14
もちこ
27
淡々とした文章と、リアルな鳥の版画で、世界の美しさを描く。 ホシムクドリが歌うのは、キツツキが話す木のこと、フクロウが語る夜の色のこと、コマドリが教えてくれた枯れる花の美しさ、カモが語る生きることの簡単さなどなど、世界にあふれている美しいものたち。 黒と白が大部分の版画なのに、淡々とホシムクドリが集めていく素敵な世界の粒たちが、最後にはキラキラと輝いて見える不思議。 心が洗われる絵本でした。2025/01/29
りらこ
25
せかいはすてきなものにあふれているという歌をうたう。 ホシムクドリはいろいろな鳥にそのはなしをする。 鳥たちは自分のせかいのすてきなものを、はなしてくれる。鳥たちは翼があってどこにでも飛んでいける存在だと、私は思っていたけれどそれぞれが生きる世界のなかできちんと地に足を付けて自分の周りに感謝しながら生きているということに驚き、嬉しくなった。きっとホシムクドリもそう。 ホシムクドリがうたう、まるい大地の歌。 これをみなで歌える、みながきこえる世の中であれと、願う。2025/02/15