内容説明
24年の教師生活を終え、竹富島に移住した著者。人生の機微を深いまなざしで見つめ続ける、珠玉のエッセイ集。
目次
一章 ほんとうの自由(あなたはどこにでも行ける;アイデンティティって;されど名前;仮面をつける;染められる幸せ)
二章 さらば、わたしの教師生活(失われる教育;夢をみた;オフレコ;人が生きているということ;心の鎧を下ろす)
三章 子どもは明日の家に住む(若い女性を愛する;ウオラムコテ;産まなかった人は;子どもたちの言葉;one-to-one)
四章 人間がする仕事(手仕事の精神;つかないぱんたー;「時間がない」問題;タレフェイラ;学び続ける姿勢)
五章 心の闇は誰にでもある(ボーダ;心の「杖」;母の道楽;よく眠れる;再 ロングショットの喜劇)
著者等紹介
三砂ちづる[ミサゴチヅル]
1958年、山口県生まれ。兵庫県西宮市で育つ。沖縄八重山で女性民俗文化研究所主宰。津田塾大学名誉教授。京都薬科大学卒業。ロンドン大学PhD(疫学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
48
途中で出てきた「心の鎧」に関する章が、すっとこころに落ちた。そのとおりですよね・・・というところ。表面的なことばかりに囚われてしまって、そもそも、そのための環境が整ているのかが等閑にされてしまいがちな今の時代。立ち止まることの大切さを考える。2025/08/05
たっきー
11
「生きていくために身につけたよごれや鎧を前に出すのではなく、その人が本来持っていた生きていく根本の何か美しいものを、ためらいなく前に出せるようになると、自然とそのよき部分で自らの周囲とつながっていけるのではないか」。上手に周囲と折り合いをつけながら生きていくためのヒント。大学教授として授業をされてきたなかで、コロナ禍をきっかけにオンライン授業が始まり、録画もされるということで「そのとき、その場のみで、そこにいる学生とともに立ち上がる特別な瞬間、としての講義、は、失われたのである」という言葉にハッとした。2025/09/23
りょう
7
なーんと竹富島に移住されているとは!知らなかった。三砂さんの、エッセイを集めたもの。公と私の考え方のちがい、鎧の話、いろいろ興味深かった。2025/08/07
spike
3
65歳らしい、あるいは退職されて新たなステージに立ったのが充分に感じられる、ゆったりとした眼差し。その一方でそれを感じさせない瑞々しい文体。滋味のあるスープを飲んだような読後感。心の鎧、もだが一番響くのはロングショットの喜劇。2025/08/02
triple_port
2
まだまだ自分の身に起きたことを、高いところから、俯瞰しつつ、神の視点で芸術的に見つめるには、頼りない鎧をまとっているのかもしれない、と感じた作品。う〜む、本を読んだくらいで心の鎧を下ろせると期待すること自体、この作品がどうこういう以前の、自分自身の問題?課題?未熟さだったかもしれない。2025/10/19




