感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめぴょん
10
「はじめに」より。自分以外の存在を自分の思うとおりにコントロールしようとしているときには、利他は起動しない。重要なのは相手の思いや行為にうまく沿うことで、潜在的な力を引き出すこと。環境、自然など人間を超えた存在の声に耳を澄まし、その土地にあるべき建築の形を整えていくのが堀部さんの方法。 終章では「木漏れ日」に記憶が継承されているという話が出て来て、そういうものを意識した家を設計したという部分がありました。光は生活の中で大事な要素でもあるなと思います。茶室の光にはいろいろと感じるところがあります。 おわりに2025/06/21
チェアー
5
共感の多い本だった。 我々は多くの死者の作った道の上にあることを思う。その道に完全にしたがうのではなく、私たちはその続きの道を作る存在なのだ。過去の道を無視するのではなく、ひれ伏すのでもなく、死者たちに恥じない新たな、続きの道を作るのだ。 2025/07/11
ichigomonogatari
2
政治学者、中島岳志と建築家、堀部安嗣の対談集。堀部の設計における考え方は、立地の気候風土やそこに残る記憶や想いにも寄り添いながら「あるものを活かす」というもので、中島の利他の考え方にとても近い。立地には必ず過去がありそこには人間を含めて当時生きていた存在があり、またさまざまな自然環境があり、それらを尊重しながら設計すると自ずと居心地の良い穏やかなものができるという。建築と利他とはどうつながるのだろう?と思いながら読み始めたが、見事に結ばれていた。2026/07/04
A
2
利他は、ありがた迷惑になることなく、受け手の思いに沿ってなされたときに初めて成立する。また、利他は未来に向けてなされるため、受け手は過去の他者や死者からの遺産を受け取る形で利他を把握する。その意味で、建築や土木は過去の人からの遺産であり、現在の人がそれに感謝したときに、初めてそれに関与した過去の人が利他の送り手として浮上する。未来の人に建築や土木を利他として受容してもらうために、現在の人は利己的な建築や土木を控える必要があるのかもしれない。2026/05/20
taq
2
政治学者中島岳志と建築家堀部安嗣の対談。中島氏の「利他」は人に寄り添うことにより相手の潜在的な力を引き出すことで、行為が行われたあとになって分かるものだという。一方、堀部氏の建築も建築場所の歴史や自然や住んでいた人たち、土地の文化などへの重層的な関わりを大切にし、それらに寄り添う利他的なものだと言える。昨今流行っている、俺が俺がと自分が前面に出て風景から浮いている独善的な建築とは対極に位置する建て方とその基盤になる利他の考え方は建築だけではなく生きていく上で色々参考になる。はっとする言葉があちこちにある。2025/08/23




