内容説明
AI時代、人類だけが行ってきた「弔い」はどうなる?「死者」の問題を考えずして、利他は語れず!葬式、墓、仏壇…失われる弔いの伝統と、台頭するAI故人ビジネス。そのリスクと可能性を、情報学、文学、宗教、政治学など多方面から考察する。
目次
1 思いがけず死者(思いがけず死者;「死者が生きていく」ためのテクノロジーはいかにして可能か;弔いの知覚論 ほか)
2 テクノロジーで死者に「出会う」(AIが死者を再現するとき―小説『本心』をめぐって 鼎談:平野啓一郎、中島岳志、高木良子;亡き娘と再会する―韓国のVRヒューマンドキュメンタリー「あなたに出会った」を事例に;亡き妻の歌声から曲を紡ぐ ほか)
3 弔いの現在と未来(消えゆく「彼岸」―弔いの半世紀を振り返る 鼎談:西出勇志、中島岳志、高木良子;遺骨アクセサリー・堆肥葬・自然循環型葬―弔いの多様化とその裏にひそむもの;墓友・手元供養・土葬―日本の葬送のいまを支える人たち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パダワン
6
読んでいる間じゅう、たっぷり自分の死生観と向き合った。おおよそ、現代の弔いに関することは殆ど触れてあると思った。 まさに今、夫の実家の墓じまいをどうするかという問題に直面しており、それは子供のいない我々夫婦の問題に直結している。 一方、「『御先祖』と共に作る」という論考で濱田庄司について触れてあった。「伝統という『無意識の創作力』」という言葉に感銘。 これに響くということは私の仕事たる住宅設計はやはり、現在的で革新的な発明や芸術より名もなき伝統である民藝に近いのだろう。 より使いよく、美しく作りたい。 2025/09/10
完敗
1
故人をAIで再現する話、テクノロジーを用いた葬儀・墓などの話。デジタル技術が進んでいるので応用すれば利他に役立つという考え方。中島岳志、平野啓一郎、ドミニク・チェン各氏といった論客の意見が参考になるが、個人的にはどうでもいい内容だった。遺族が自分をどう思おうが、自分がこの世から消えてしまっていては意味もなす術もない。2025/08/17
アルミの鉄鍋
1
★3.5 生成AIによって作られる故人。死者労働問題って新しい問題なんだなぁと思った。そもそも、個人の人権を遺族に託して良いのか問題もあるし法整備もない。生成AIの中で特に強い人権問題なんじゃないかなとも思った。ペットは人間よりもはるかにロスが強くて49日もなければ突然切り離される。確かに。読んでて多方面からふむふむと考える一冊だった。2025/05/16
Go Extreme
1
死者と共に生きる 死者の民主主義 生者の傲慢な寡頭政治 死者たちからの信託 多死社会の現実 手元供養の拡大 故人との共在感 死者のデジタル存在 テクノロジーと死生観の交差 自然に還る感覚 ドローン仏という挑戦 墓石の言葉の変化 家制度の限界 人間らしさの再現 意志という近代的価値 墓じまいの時代 遺骨の多様な変容 インターネットという墓場 弔いの文脈 故人の分人との対話 五感を通した想起 引用の名手 死者の商品化 堆肥葬の誕生 遠野のシシ踊り2025/05/05
マウンテンゴリラ
1
数年前にTVでAI美空ひばりなるものが放映され、話題となったことを思い出した。その時、正直私はそれに対して何の感動も覚えなかった。またその一方で、その年は没後30年ということもあり、在りし日の映像で本人を振り返る特集番組も多く見られ、そちらの方にはいたく感動したという記憶がある。そのことを死者とテクノロジーというテーマに結び付けて考えると、過剰なテクノロジーは死者の冒涜にも繋がりかねないという一例であったように思う。本書で問題にされる死者というのは、そのような客観的評価の対象となる有名人というより→(2)2025/04/28
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