内容説明
稼ぐためではなく、風景や知恵や種を、受け継ぐために。模索した、新しい農のかたち。地元(愛媛)では農、東京では作家。チームで畑をして、ときにバンド活動も。
目次
2002.01~03 冬 木と人の世代交代
2022.03~05 春 動物たちとどう生きるか
2022.06~08 夏 真剣な遊びとしての畑
2022.09~11 秋 お百姓は忙しすぎる
2022.12~2023.02 冬 黒糖作りを継ぐ
2023.03~05 春 農業は半分が土木
2023.07~08 夏 チームでする農業
2023.09~11 秋 わたしの農継ぎ
2023.12~2024.02 冬 石積みを継ぐ
著者等紹介
高橋久美子[タカハシクミコ]
作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆の他、様々なアーティストに歌詞提供を行う。現在は愛媛と東京の二拠点で暮らし、愛媛では農家をしている。農や食について考える「新春みかんの会」主催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よんよん
32
家庭菜園の枠を超えて、がっつり農業者となる久美子さんの農作業エッセイ?、農作業日記? 読むととても前向きで、楽しそうだし、やる気出そう。だけど、農業は生活かけてやらなければ、喜び半分かもしれない。しかし、害虫害獣対策、草との闘いは半端ない。やってみると分かる。しんどさが勝るかもしれない。自分も畑で野菜を育て、幾らかでも産直市に出荷しているが(これで生活はかかってないから)呑気に楽しむ部分がある。そして、旬の取り立て野菜のおいしさは何ものにもかえがたく、今日も畑に出ている。2025/06/16
to boy
18
東京在住の著者が実家の愛媛のミカン畑や野菜畑を引き継ぎ二拠点での生活の奮闘記。当然一人ではできないので農業をやりたい人を募り、無報酬での仲間内の農業生活。これはとても無理なやり方だと感じた。東京から仲間たちに「あれやって、これやって」とメールすることに違和感を覚えた。猿やイノシシのでる山合いの畑で柵を作ったり真夏の草刈りなど自然とのかかわりという喜びだけではやっていけない苦労を「仲間」というだけで維持するのは難しいと思った。2024/10/24
Sakie
15
これからの日本は大変動と試行錯誤の時代。本人がそれでいいと思うんならなんでもやればいいのだと思う。周りに迷惑をかけない限りは。農のかたちはいろいろある、とわかる。慣行農業、有機、不耕起、自然農法、どれが正しいってものではない。ただ、農家が野菜を育てて採算をとるために今の農法が確立されている現実の尊重と、農家の人が知っていることを何も知らない、お気楽な「真剣な遊び」は別物との自覚を持っておきたい。あと、例えば信州と四国では風土が違う。同じように無農薬や自然農法ができるわけではない、かもしれないと覚えておく。2024/12/22
Yutaka Matsuzawa
9
チャットモンチーが大好きで特に高橋久美子作詞の曲が好きだった。それはさておき、著者が愛媛帰省時、田園風景が荒れ地になり、太陽光パネルに変わり危機を感じ起こした行動。作家と農家の東京愛媛二拠点生活。その2022年からの活動記録。農業たいへんが私の感想。真夏の草刈り、猪や猿との闘い。チームで行う農業の苦労などなど。でもしょっぱい話ばかりでなく、黒糖作りや石積みなど技術継承の話はぐいぐい読んだ。私は気候変動で食糧危機が起こると思う。この本などで食糧生産現場の現状を知っておくことは大切で、特に都会の人はと思った。2025/01/10
Riel
7
読書会で久美子さんの他の本を勧められたのとチャットモンチーが好きだったので図書館で手に取ってみた。すごくバイタリティーに溢れた人だ。二拠点生活だったり父から遊びだと眉をしかめられる農業だったり、普通だったら批判ややりとげられないことを恐れて二の足を踏んでしまいそうなことにも飛び込んでいく。もちろん批判されたり怒られたり仲間がいなくなっていったりたくさんあるけどめげずに頭と手を動かしている。そういうところを見習いたいなあと思った。文章が好きだと思ったので読書会で勧められた文章に関する本も読んでみるぞー!2025/04/09