感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
umico
9
「身体のまんなかのところに、大きな湖がある。」さらさらと「わたし」の思考はうつろっていく。「野辺の草花のひと茎に擬態するように、あとどれくらい咲いているのかしれない、淡くはかないものになって、安らいで、息をして、透きとおって、わたしは水の中の足を揺らした。」そっと声に出して唱えてみたくなる文章。『みなみのかんむり座の発見』が芯からやさしさだけでつくられた物語というのはこういうものだという感じで、でも嫌味なくとても好きでした。大好きくるりが出てきたのも嬉しい。2025/08/20
あくせるがつきー
1
非常にパーソナルな感じ。よくもわるくも。 (すみません! 復帰してダダーッと入れているのでコメント雑で…)2025/05/30
sa
1
「寂しくない。」 この言葉が出てきたときのインパクトがすごかった。 また読み返したい。2025/06/19
梅あんず
1
詩人による短編小説集。この作家さんの作品は初めて読んだけど、言葉選びと全体の雰囲気がかなり好みだったので、今度は詩集も読んでみたい。 森のせせらぎや湖面のさざなみのような、さわやかな柔らかさを感じる作品だった。 「出会った日が記念日になるほどの特別な出会いが、人生に何度くらいあるだろう。」「けれどもいまの私は、記念日の日付や出会いの瞬間のドラマよりもっと別のものに憧れている。」2025/06/16
愛
0
いつか芥川賞作家になるのでは。このような本に出会うと、二度とスゴイヤバイなぞと口にしないぞと気を引き締める。琴線に触れた表現を書き留めていたらほぼ書き写し状態。活字オタあるあるで雨の描写にはうるさいのですが、ちょっと用事を思い出したように止んではまた降るとかナイスな表現が沢山あった。街路樹に移植された一人ぼっちの木みたいにとか湯たんぽのチグハグな優しさとかに一体誰が気付こう。作者の感受性の豊かさに己が情けなくなる。歩いて行った先に水の塊があると安心するという終盤の文で、冒頭の湖が理解出来た気がする。2025/11/05




