感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
52
あんパンとクリームパンしか売ってないのに、時々パンの中身を間違えて作ってしまうって、一体どんなパン屋さん?・・とつっこみながら読む(笑)以前に読んだエッセイはユーモアが勝っていたが、小説の方は狂気が感じられた(特に「うつつ・うつら」)2025/05/27
Y2K☮
33
著者初読み。京の町の日常に潜む闇をユーモラスかつ禍々しく描いた三編。表題作に晶子という女の子が出てくる。私小説ではないかもしれないが、やけに生々しい。「うつつ・うらら」はそれ自体が漫談や落語、あるいは短編映画の題材になりそう。芸ではなく気力がすべての職場というのは何だか呑み込める。書店員も商品知識だの選書だのを論じる前に、そもそも気持ちが続くかどうかだから。自分自身「あっれーぇーぇーぇー」とぬるま湯にさらわれぬ保証はない。繋ぎとめるのは淡い希望か蜃気楼か、もしくはこここそが青い海だという悟り染みた諦観か。2025/05/13
桜もち 太郎
18
ただただ毎日がしんどい今日も明日も変わりそうもない日々がだるい。どの作品も京都を舞台にしたものだ。読んでいてユーモアは全く感じなかった。とくに大阪から今日に流れてきた芸人が、全く受けることのない小屋で芸をする「うつつ・うつら」は辛かった。いつかは早乙女紅子となって花を咲かせようとするマドモアゼル鶴子の沼感がやるせない。「乙女の密告」で芥川賞をとり、ほどなくして病死してしまう作者。ほんのわずかな作品を残して死んでしまった。代り映えしない毎日を描いた本作。彼女の作品も未読は残り一冊。どんな作品なんだろう。2025/05/21
rinakko
5
3作品中、表題作と「うつつ・うつら」は再読。笑って読んでいたのにいつの間にか怖いところ(落ちたら抜け出せない虚ろのような)を覗かされるのが、赤染作品だなぁ…とあらためてしみじみ。そこにあるのかもわからない何かに届きたくて、やっぱり欲しい…と高いところに手を伸ばす。健気でひたむきなだけなのに、その姿は時に滑稽で時に哀しい。そんな風にしか生きられない主人公たちは、頼もしくはないけれど逞しくて、人は簡単には絶望出来ないものだということを思い出させてくれる。希望という名の病がそうはさせてくれない、と。2025/06/09
夏みかん
2
京都好きの人たち、読んでみなはれ、って感じ。やっぱ、京都おっそろしいとこやわあ。水やなくて水銀やねんな、でもって蜃気楼かもしれへんし、200回忌て!下手なホラーよりもよっぽど怖い本でした。怖いけど飄々としてて面白くもあった。2025/05/30