感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
53
あんパンとクリームパンしか売ってないのに、時々パンの中身を間違えて作ってしまうって、一体どんなパン屋さん?・・とつっこみながら読む(笑)以前に読んだエッセイはユーモアが勝っていたが、小説の方は狂気が感じられた(特に「うつつ・うつら」)2025/05/27
まる
35
「ジャムぱんの日」がとても良かったので、今年4月に刊行されたこの作品も読んでみました。 クスクスという笑いの中にうら寂しさを感じる三作。とくに「うつつ・うらら」の売れない芸人の話は人間の哀しみが滲み出てくる。ぐるぐるぐるぐると同じところをずっと回っている。 渦から抜け出せないのは知らず知らず自分も一緒に回っているからなのだろう。京都の夏は息苦しい暑さがある。2025/10/03
Y2K☮
34
著者初読み。京の町の日常に潜む闇をユーモラスかつ禍々しく描いた三編。表題作に晶子という女の子が出てくる。私小説ではないかもしれないが、やけに生々しい。「うつつ・うらら」はそれ自体が漫談や落語、あるいは短編映画の題材になりそう。芸ではなく気力がすべての職場というのは何だか呑み込める。書店員も商品知識だの選書だのを論じる前に、そもそも気持ちが続くかどうかだから。自分自身「あっれーぇーぇーぇー」とぬるま湯にさらわれぬ保証はない。繋ぎとめるのは淡い希望か蜃気楼か、もしくはこここそが青い海だという悟り染みた諦観か。2025/05/13
桜もち 太郎
18
ただただ毎日がしんどい今日も明日も変わりそうもない日々がだるい。どの作品も京都を舞台にしたものだ。読んでいてユーモアは全く感じなかった。とくに大阪から今日に流れてきた芸人が、全く受けることのない小屋で芸をする「うつつ・うつら」は辛かった。いつかは早乙女紅子となって花を咲かせようとするマドモアゼル鶴子の沼感がやるせない。「乙女の密告」で芥川賞をとり、ほどなくして病死してしまう作者。ほんのわずかな作品を残して死んでしまった。代り映えしない毎日を描いた本作。彼女の作品も未読は残り一冊。どんな作品なんだろう。2025/05/21
たっきー
10
2007年に刊行された『うつつ・うつら』に1編を加えて刊行された作品。3編収録。会話の流れや言葉づかいで京都だなと感じる。タイトル作と「まっ茶小路旅行店」が特にいいなと思った。早逝されたことが惜しまれる。2025/08/25