内容説明
2016年「部落差別解消推進法」が成立・施行した。インターネットやSNSを悪用した差別の悪化・深刻化が立法事実となった。ネット上で拡散するデマや偏見。ネット版「部落地名総鑑」や部落出身者リスト、部落を撮影した動画や画像がアップされている。部落/出身者を「暴き」「晒す」差別扇動が続いている。もう、「寝た子を起こすな」論は通用しない。「寝た子」はネットで起こされる。全国水平社創立から百年を迎えた今、部落差別の現実、差別禁止法の必要性、ネット対策、人権教育のあり方について考える一冊。
目次
第1章 市民の感覚
第2章 日本の人権基準の高まり
第3章 悪化するネット上の部落差別の現実
第4章 現代的レイシズムを考える
第5章 『全国部落調査』復刻版出版事件
第6章 東京地裁判決とその後の動き
第7章 問われるマジョリティへの人権教育
著者等紹介
川口泰司[カワグチヤスシ]
1978年愛媛県宇和島市の被差別部落に生まれる。中学時代、同和教育に本気で取り組む教員との出会いから解放運動に取り組むようになる。大阪の大学を卒業後、(社)部落解放・人権研究所、(社)大阪市新大阪人権協会を経て、2005年から、(一社)山口県人権啓発センター事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひさちゃん
7
福岡県人権研究所主催の講演をもとに、筆者が加筆修正し事務局が編集したものをまとめた本。ネットで拡散されるデマや偏見によって差別が助長されていること、これにより、隠していても知らないことで差別がひどくなっていることがわかった。2023/11/21
U-Tchallenge
0
著者の講演を基に加筆修正された一冊。現在の部落差別、とりわけインターネット上での部落差別についてよくわかる内容であった。また、部落差別とは何か、どのようにして起こっているのか等、さまざまな角度から語られていた。「自分は差別をしない」だけでは差別はなくならない。差別をなくすために何をするか、ということを考えることのてきる内容であった。部落差別って何なの、部落差別ってあるの等の率直な疑問について平易な言葉で応えてくれる良書である。これは再読しなければならない一冊だ。2025/04/27
ミネチュ
0
本文の大部分が書名のサブタイトルにあるようにネットの話、ネットでの差別の話。これは「明らかな差別」で、差別された当事者もわかりやすいでしょうが、我々第三者も差別だとよくわかる。問題は、この本の冒頭に書かれている無自覚の差別、マイクロアグレッション。一体どういうのがそれに該当するのか・・・。2024/09/14