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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
69
副題は「古い血族の最後の輝き」で、古い地主の家の父クスタアの没落と娘シリヤの寄る辺ない人生が、20世紀初のフィンランドの農村の生活とともに語られます。この物語が美しいのは、彼らが青春の憧憬に導かれるようにした選択とその重み、憧れと現実の相克に「悶えに悶えながら」も自ら踏み込んだその運命を一歩一歩踏みしめていくからで、その人生がその苦闘の「奥にこそ、楽しく健やかな」人を高めるものがあるのだと訴えるからなのだと思います。何もなさず「はかない想い出ばかり」を抱えて死ぬシリヤの生から静かな鼓舞を受けるようでした。2023/04/06
harumi
16
美しい絵画のような小説だった。タイトルで示されているように、22歳で夭逝した女性の物語。大地主から没落していく父のもとで育ち、父の死後、天涯孤独となり、農家の女中となるも不運が重なっていく。悲劇的なストーリーだが、主人公の真摯に懸命に生きる姿に清々しい気持ちになり、フィンランドの過酷で美しく静かな自然の描写に心が洗われるようだった。すべての人の命は尊ぶべきものという作者の言葉にとても勇気づけられた。読後も静かな感動が続く。何度も繰り返し読みたくなる本です。2025/09/13
uniemo
15
題名のとおり、主人公の没落した名家出身の女中の主人公が最終的に若くして亡くなる場面 を明示してから彼女の人生の物語が始まります。フィンランドは1年ほど暮らしていたので、夏至のヨハネ祭のころの白夜の美しさと真っ暗な冬の厳しさなど自然の描写にまず惹かれました。それとともに赤軍と白軍や地主層と小作層の争いなど、歴史的事実としては教科書の一文ぐらいの知識しかなかったことが当時の生活様式と共に描写されていて興味深かったです。2022/12/21
フランソワーズ
10
北欧の自然の美しさ。そこで生き、死ぬ父娘の薄幸。哀しく、美しい叙情的小説。人はみな空虚であり、孤独である。家族という絆があったとして、人は本質的にそうである。悲しむべきことではない、宿命に過ぎないのだから。2025/12/05




