内容説明
「猫にご用心」、それはかつて稀覯書として知る人ぞ知るものであった物語。シェイクスピアから現代のアニメやゲームまで、時を超えて幅広いジャンルの作品で語り継がれる猫の王様・グリマルキンとは?歴史に埋もれた奇書の謎を追うスリリングな解説と合わせて、世にも珍しい猫文学のアンソロジーを、ぜひお楽しみください。
著者等紹介
ボールドウィン,ウィリアム[ボールドウィン,ウィリアム]
1526頃‐1563。作家・編集者・説教者。若いころはロンドンで印刷工をつとめながら、出版用の原稿も執筆し、翻訳も行った。英文学史上では、シェイクスピアの種本にもなった『為政者の鑑』(1559)の編著者として知られ、今作『猫にご用心』にも登場するフェラーズ氏と共同でその本の編集作業を行っている。エリザベス女王の戴冠後は出版の仕事をやめ、聖職者となって説教活動に励んだという。1563年のペスト大流行に際して死没
大久保ゆう[オオクボユウ]
1982年生まれ。翻訳家。研究者〈大久保友博〉としての専攻は翻訳論・翻訳文化史、現在は一橋大学言語社会研究科講師、博士(人間・環境学)。一六歳から青空文庫に翻訳作品を発表、大学院在学中からフリーランス翻訳家としても活躍。文芸・大衆文化・美術関連の翻訳や著作権についての批評も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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timeturner
3
16世紀に英語で初めて書かれた小説だという表題作は、幼児好みの排泄ネタや残虐性と、当時の体制に媚びるようなローマカトリックへの揶揄と罵倒が混在し、粗野ではあるが生き生きとしたエネルギーを感じる。併録されている猫王グリマルキンを描いた2編の作者が、フェミニストのシングルマザーと博物学者・探検家という、ヴィクトリア朝生まれとしては珍しい女性2人だというのも興味深い。2025/06/03
よだみな
1
世界初といわれる英語で書かれた猫小説。あちこちの本で登場する猫の王「グリマルキン」の起源がわかってよかった。グロ描写あり2025/03/28