内容説明
北山寿安は、江戸時代に「浪花随一」といわれた漢方名医である。長年にわたり、長崎や大坂で活躍して漢方医学界に大きな足跡を残した。小林製薬、武田薬品そして塩野義製薬などの大手薬品メーカーの本社がある大阪・道修町の名前の由来は、北山寿安と関係があるという。本書では、寿安の生きた時代、当時の日中の思想状況も視野に入れて北山寿安の革新的医論形成のプロセスを論じ、さらには、その業績を反映する『北山医案』の現代語訳及び解説を行って彼の臨床の実像と医療思想を明らかにする。また、これを文化現象として考えつつ、医学に限らず儒学や史学、日中交流・貿易などの面において史的、文化的角度からも視野に入れて考察する。
目次
序章 先行研究と本書の構成
第1章 北山寿安の生きた時代背景
第2章 北山寿安の生い立ち
第3章 北山寿安医学知識の形成過程
第4章 北山寿安の著作にみる漢方思想
むすび 北山寿安研究の意義と課題
著者等紹介
矢嶋道文[ヤジマミチフミ]
関東学院大学名誉教授
洪濤[コウトウ]
1976年12月中国陝西省武功県生まれ。2019年3月関東学院大学文学研究科より博士号取得。現在、中国昆明理工大学外国言語文化学部副教授。専門は日中言語文化、とくに近代における日中医薬学文化の比較研究。研究課題には中国国家社会科学基金である「中古医療と外来文化(日本語訳)」と中国雲南省人材養成研究プロジェクト「漢方医北山寿安と中日医薬文化交流」などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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