内容説明
まだだれもがみんぞくふくをきてくらしていたころのこと。町なかの三さろにはじめてのようふく店ができました。親子三世代で紡いでいくある洋服店のおはなし。詩人林木林初の韓国翻訳絵本。2020年ボローニャ国際児童図書展・ラガッツィ賞オペラプリマの部受賞作!
著者等紹介
アンゼソン[アンゼソン]
『サンサロようふく店』は初めての絵本です。2014年と2017年に「ボローニャ児童国際図書展」で今年のイラストレーターに選んでいただきました
林木林[ハヤシキリン]
詩人、絵本作家。詩情あふれる独自の視点で多彩な作品を手がける。『ひだまり』(光村教育図書)で産経児童出版文化賞、『みどりのほし』(童心社)で児童ペン賞絵本賞を受賞。詩集、絵本、翻訳など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒラP@ehon.gohon
28
韓国の洋服店歴史であることを考えると、とても興味深い絵本です。 1代目創業直後のお店のカレンダーは1916年10月を示しています。 日韓併合時代で、朝鮮総督府の統治下の朝鮮時代であったことと、ファッションの西洋化が始まった頃でしょうか。歴史感のある衣服が印象的です。 戦後、創業者の三男が洋服店を立直した店のカレンダーは1959年。 朝鮮戦争で、朝鮮半島が南北に分断されています。 老舗としてのサンサロ洋服店も、次第に街の近代化の中で苦しむようになります。 創業者の孫が店主になって、1996年を迎えます。 2022/07/09
anne@灯れ松明の火
28
新着棚で。オシャレな表紙に惹かれて。韓国のイラストレーターの絵本デビュー作。訳は林木林さん。民族衣装が当たり前だった時代に、三叉路にできた初めての洋服店。店主のドックさんが丁寧に作る洋服は評判に。真面目な仕事は、息子、孫へと受け継がれるが……。色数を抑えたオシャレな絵。大人好みの絵本。2022/05/12
退院した雨巫女。
25
《本屋》父が、私が9歳迄、町の洋服店でした。私たちのために、サラリーマンになりました。でも、百貨店で、採寸をして仮縫いをして、オーダーの担当でした。インチから、cmになり、敬語で話したり、苦労しながら、育ててもらいました。 2022/05/03
ケ・セラ・セラ
24
三叉路にできた洋服店。お洒落に敏感な人たちの目を惹き、やがて多くの人たちに広まっていきます。日本に洋装が入ってきた当時も、こんな感じだったのかもしれませんね。ひと針ひと針、心を込めた丁寧な仕事。細部までこだわりお客さんの体にぴったりで着心地良く仕立てられた服。代替わりしても大切に引き継がれていく技術。時代が変わり大量生産で手軽に手に入る服がどれだけ溢れても、決して真似のできないオンリーワンの服。憧れです。四代目のテーラーサンサロの未来も見えますね。味わい深いとても素敵な作品。2022/11/20
みさどん
22
手仕事で一点物の服が仕立てられた頃の話で、それが廃れていくエンディングかと案じていた。けれど、高い職人技のもと、代々うまく引き継がれていくのだ。しかし、なぜに犬社会として表現してあるのだろう。体に合う服って、肩こりや不快感は起きないだろうなあ。考えてみれば自分の服を仕立てるって、お金持ち以外できない今だよな。2022/08/18