内容説明
明治後期から昭和初期にかけて外交の最前線にあり続け、帝国日本の発展と崩壊を体現した外交官の足跡。日本外交の近代化を目指し、何と格闘したのか…。
目次
第1章 千葉の庄屋から世界の舞台へ
第2章 帝国日本の台頭
第3章 第一次世界大戦期の外交1―連合国との協調の模索
第4章 第一次世界大戦期の外交2―新外交への対応
第5章 国際連盟での活動
第6章 軍縮と平和
第7章 満洲事変前後
第8章 帝国日本の終焉
著者等紹介
渡邉公太[ワタナベコウタ]
帝京大学文学部専任講師。博士(政治学)。1984年生まれ、京都府出身。筑波大学第一学群社会学類卒業後、2014年に神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(DC2)、ワシントン大学ジャクソン・スクール客員研究員、(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構研究員、帝京大学文学部助教などを経て現職。専門は日本政治外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
4
戦前日本を代表する国際協調路線の外交官としての石井菊次郎の姿に迫る評伝。「一等国」へと昇華する近代日本外交の問題点と矛盾をこれ程見事に体現した外交官はそういないであろう。小村外交を支え、外相として第一次大戦中の日本外交を主導。大戦後は国際連盟を中心に新時代に対応せんとする外交官の筆頭となるも満州事変後は日本の正当性を主張し対外強硬論を展開する。小村外交を理想とする石井は大陸権益を正当と見做し、これを理解しようとしない国際社会を痛罵する。しかし全てを相手の責に帰したその論は帝国日本の崩壊を導く論であった。2023/04/02