活字の種をつくった人々―わずか2ミリの活字のもと”種字”を手彫りした彫刻師たち

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活字の種をつくった人々―わずか2ミリの活字のもと”種字”を手彫りした彫刻師たち

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  • サイズ A5判/ページ数 240p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784910576091
  • NDC分類 749.41
  • Cコード C3070

出版社内容情報

私たちの身のまわりにある本や雑誌、新聞。そこに並ぶひとつひとつの文字は、40年ぐらい前までは、おもに活版印刷で刷られていました。活版印刷とは、ハンコのような鉛の活字を組み合わせて、機械で印刷する方法です。ひとつひとつの文字は、1本1本の鉛活字を並べることで刷られていましたが、その鉛活字のおおもとの型を、かつて人が手で彫っていたことを知っていますか?――活字とおなじ大きさ、デザイン、鏡文字で。

文章のなかには、おなじ文字が何度も登場します。このため、たとえば1冊の本をつくるために、「あ」なら「あ」の鉛活字を何十本も用意しておかなくてはなりません。場合によっては何百本、何千本も。「母型(ぼけい)」というひとつの型から量産するのですが、そのためには必ずだれかがその「母型」のおおもととなる型=「種字(たねじ)」をつくる必要がありました。描いたり、写したりするのではありません。木や鉛合金でできたマッチ棒ぐらいの小さな細い軸に、人の手で「彫って」つくられたのです。

原寸大ですから、本文用でもわずか2、3ミリ角の大きさです。そのサイズに彫刻刀で、それも鏡文字で彫って、明朝体やゴシック体、楷書体など、いろいろなデザインの種字がつくられ、活字のもと=種になった。にわかには信じられないような話ですが、明治から昭和にかけて、実際におこなわれてきたことなのです。この種字を彫る職人のことを、「種字彫刻師」といいました。

はたして、「種字彫刻師」の仕事とは、どのようなものだったのでしょうか。そして「種字彫刻師」とは、どんな人たちだったのでしょうか。本書では、いま、私たちの身のまわりにあるスマートフォンやパソコン、本、雑誌、新聞などのなかに、当たり前のように表示され、印刷されている文字。そんな文字――フォントの源流といえる文字を彫っていた「種字彫刻師」の人と仕事を、わずかに残された資料や実物からひもときます。


【目次】

第1章 活字はじめてものがたり
 活字とは?
 活字 各部のなまえ
 活字のサイズ
 活字はこうしてつくられる
 活版印刷の流れ
   コラム◎種さんの豆知識:活字の大きさ

第2章 「活字の種=種字」をつくる
 種字とは?
 種字彫刻の流れ
   コラム◎種さんの豆知識:種字彫刻の特徴は?
 種字から母型をどうつくる?
   コラム◎種さんの豆知識:母型づくりの道具

第3章 種字彫刻師が活躍した時代
 「種字彫刻師」という人々
 日本における近代活版印刷術のはじまり
 電胎法――種字1本から何万本もの活字を生み出す活字製法
 独自書体の登場
 種字彫刻師のはじまり
 種字彫刻師の修行
 種字彫刻の広がり――活版印刷所の増加
 新聞社と種字彫刻
 手彫りから機械彫りへ
 ベントン、写植、そして現代のデジタルフォントへ
   ◎種さんの豆知識:母型の種類

第4章 種字彫刻師列伝
 東京築地活版製造所
  竹口芳五郎…名の残る最初の種字彫刻師
  竹口正太郎…築地体の中心をなした人
  鈴木彦次郎…明朝体以外の書体を好んだ
  安藤末松…築地活版・最後の彫師
   コラム◎種さんのこぼれ話:名人母型師・字母吉

 秀英舎
  沢畑次郎…記録のほとんど残らない彫師
  河村?太郎…沢畑とともに「秀英体」を完成させる
   コラム◎種さんの豆知識:秀英舎/大日本印刷の活字づくり
   コラム◎種さんの豆知識:ベントン彫刻機って?

 精興社
  君塚樹石…岩波書店の本に多くもちいられた書体を生む
   コラム◎種さんのこぼれ話:樹石の師:石渡栄太郎

 毎日新聞社
  村瀬錦司…竹久夢二の木版彫師もつとめた種字彫刻師
   コラム◎種さんのこぼれ話:小塚昌彦さんが語る村瀬錦司

 朝日新聞社
  太佐源三…声楽・英語・機械も学んだモダンな紳士
   コラム◎種さんのこぼれ話:橋本和夫さんが語る太佐源三
   コラム◎種さんの豆知識:新聞の扁平活字の反響

 岩田母型製造所
  大間善次郎…岩田百蔵に認められた天才
  馬場政吉…岩田母型の種字を一手に受けた
  庭田與一…馬場彫刻工房の一番手
  清水金之助…2000年代に何度も実演会をひらく
  中川原勝雄…凍りつく寒さのなかでの修行

種字彫刻師・人物相関図

目次

第1章 活字はじめてものがたり(活字とは?;活字 各部のなまえ ほか)
第2章 「活字の種=種字」をつくる(種字とは?;種字彫刻の流れ(地金彫刻・清水金之助の場合) ほか)
第3章 種字彫刻師が活躍した時代(「種字彫刻師」という人々;日本における近代活版印刷術のはじまり ほか)
第4章 種字彫刻師列伝(東京築地活版製造所;秀英舎;精興社;毎日新聞社;朝日新聞社;岩田母型製造所;種字彫刻師 人物相関図)

著者等紹介

雪朱里[ユキアカリ]
著述業。1971年生まれ。武蔵大学人文学部日本文化学科卒。写植からDTPへの移行期に印刷会社に在籍後、ビジネス系専門誌の編集長を経て、2000年よりフリーランス。文字、デザイン、印刷、手仕事などの分野で取材執筆活動をおこない、文字分野では描き文字から活字・写植・デジタルフォントまで、つくり手や、それがつくられる/使われる現場への取材を通じて、「人」の見える書体デザイン史、印刷史を詳らかにすることに取り組んでいる。2011年より『デザインのひきだし』誌レギュラー編集者もつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

115
活版印刷の活字を作るためのおおもとの型を「種字」と言うそうだ。その種字を彫る「種字彫刻師」を紹介した本書は、「職人」というものの持つ凄さや純粋さを余すところなく伝える感動の一冊である。岩波の漱石全集の精興社や、多くの新聞・書籍の活字を供給した岩田母型製造所の名前は承知していたが、そこに所属する職人たちの名前と功績を、このように詳しく知れたのはとても嬉しい。活版印刷は、オフセット印刷やデジタル印刷に移りつつあるが、種字彫刻のノウハウがデジタルフォントなどの中に生きていることを知り、救われた気持ちにもなった。2026/09/26

ときわ

7
何年か前に大量に処分した本は活字で印刷されていた。 最近では活字を扱った小説も読んだりしてなんとなく自分は活字を知っているという気になっていた。 この本を読んで 全然知ってなかったと反省した。 活字で印刷するには当然ながら 活字を作らなくてはいけない。 その活字を作るためには その元になる 種字が必要。 つまり 機械を作るための金型と一緒なんだと理解できた。そして種子を作っていた人たちは印刷の歴史の中で とても短い間 活躍しまた別の道に進まなければいけなかった。名前が残った人は数人 だけ。感動した。2026/09/11

とむ

1
活版印刷、一度経験してみたいよね程度の憧れを長年なんとなく持っていたので読んだ。ド素人でも理解しやすく面白かった。ずっと表紙を擦っている。、2026/09/29

yanapong

0
表紙の文字が強めの活版印刷(と思われる)のがまた良い。中身もカラー図版がたっぷり。活字に興味のある人は必読。2026/09/20

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