内容説明
母親との関係に悩みながら、一人娘のひかりを慈しむシングルマザーの美空。義弟で同性のことが好きな颯斗は、兄と美空が離婚した後も何かと二人の世話を焼こうとするが―。『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』などで人々のかけがえのない関係を紡ぎ続けた瀬尾まいこが描く、あなたの小さな、でも確かな支えとなる感動の物語!
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2009年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。2020年刊行の『夜明けのすべて』は映画化され、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されたほか、数々の映画賞を受賞するなど、大きな話題となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
196
シングルマザーの子育て応援小説。優しい美空ママと保育園に通うひかりちゃんが過ごす1年。義理の弟颯斗君、ママ友の三池さん、職場の同僚宮崎おばさんらからの優しいサポート。うっかり見落としたり、するりと抜け落ちたりする幸せをお裾分け頂けます。誰かを笑わせ、誰でもいいから自分以外の人を救える、存在意義のある人間でありたい。こんなにいい話ありか。2025/05/17
いつでも母さん
145
「親の恩を忘れるな」ここに縛られて生きてきた人は多いと思う。面と向かって言われたことは無く育った私でも、意識の中には育ててもらったとか、親の顔に泥は塗れないとか染みついていたと思う。「親孝行は3歳までに終わってる」という言葉を聞いたのはいつだったろう。実はちょっとだけ苦手な(当方比)瀬尾さんの本作はツッコミどころは多々あるものの、係る周りが皆暖かくて優しい読後感。ただ・・美空の母親(颯斗曰く「くそばばあ」)の言動には私自身の体温が上がっていくのを感じながら読んだ。やっと母親から自立出来た美空に拍手だった。2025/05/14
美紀ちゃん
105
颯斗君、三池さん、宮崎さん。話ができる人、助けてくれる人がいて良かった。母親のネグレクトに気づかず迷い怯える美空。ひかんぽちゃんママんぽちゃんのところで面白くて温かくて泣きそうになった。颯斗君がとてもいい人でひかりちゃんも颯斗君が大好きで柔らかい空気があって手で触れられそうな光が溢れている。母親に毎月支援するのは無理だと話に行った時に勇気を出せてちゃんと冷静に言えて良かった。美空がだんだん強くなってたくましくなっていく様子がよかった。娘からもらえるエネルギー。すごいパワーだと思う。2025/05/13
もぐもぐ
89
読んでいてすごく楽しくて笑顔になれました。主人公の美空が育児に抱く「大きな不安と底知れない安らぎ」にとっても共感。周りの人たちがみんなとびきり優しくて、それを気持ちよく読めるところが瀬尾さんのすごいところだなあ。美空はとても好感持てる人だし、娘のひかりとのかけがえのない絆も素敵でした。歪だった母との関係が良い方向に変わっていきそうな終わり方もよかったです。温かさでいっぱいなこの本が多くの人に読まれますように。2025/04/26
のぶ
88
瀬尾まいこさんが描くシングルマザー美空と娘のひかり、義弟の颯斗を中心とした物語。 血のつながりと相手を思いやれるかどうかは関係ない。適度な距離感を保ちつつ、さりげない心遣いができるママ友やパート仲間に感動した。こういうことが自然にできる人たちもまたどこかで辛い経験をしたり、少なくとも辛い思いをしている人の立場を想像できるようになる経験があったのではないかと思う。一人じゃないとわかるだけでどれだけ救われるのかということ、そして、遠慮せず頼れる人を頼ることの大切さを感じた。 2025/05/08