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出版社内容情報
脳の中の出来事はどうやって測れるか。研究評価では、「1.研究費申請の採択率」、「2.論文出版数」、「3.当該分野での影響力」、「4.科学の枠組みに対して起こしたパラダイムシフトの大きさ」の4つが基準になる。そのなかでも創造性評価により「1.NMDA受容体の分子構造、機能、制御」および「2.運動学習の回路」を選出。グルタミン酸は脳の興奮性活動を担うシナプス伝達物質であり、NMDA型グルタミン酸受容体は記憶や学習など脳の高次機能に不可欠な分子。X線結晶学、クライオ顕微鏡、単粒子解析を用いてNMDA型グルタミン酸受容体の構造解析、機能解析に中心的役割を果たし、創薬の基礎情報として利用。もう一方の「運動学習の回路」ではパーキンソン病やジストニアなどの運動失調・運動障害疾患の病態解明に深く貢献し、また学習理論や人工知能の設計基盤となることが期待される。そのほかギャンブル依存症などに対する臨床応用の可能性と課題、神経回路を理解するため、個々の神経細胞の形態を可視化し、その投射先を明らかにする解剖学的染色法やトレーサー以外に、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルスなどを用いたトレーサー、また微小構造からの測定のために高感度・高速で局在性の高いセンサーの開発、カルシウムイメージング、膜電位イメージングの開発について解説。神経活動と不眠症、神経疾患と核・細胞質間物質移動についても述べられ、最もホットな「光遺伝学」の応用についても述べている。
目次
序章 研究と方法
1 NMDA受容体の分子構造、機能、制御について
2 運動学習の回路
3 経シナプス性ウイルストレーサーを用いた神経回路解析
4 光学的膜電位計測ツールの開発とその応用
5 サブプレートから解き明かす大脳皮質構築原理
6 神経活動パターン依存的な嗅覚回路形成
7 神経活動が誘導する転写プログラム
8 不眠症に伴う自発脳活動と学習変容の解明
9 概日時計ニューロンの可塑性形成機構の解明
10 光遺伝学を用いたTDP‐43神経毒性のメカニズムの探究
11 スプライシング異常の理解に基づく神経膠腫治療法の確立
著者等紹介
廣川信隆[ヒロカワノブタカ]
公益財団法人ブレインサイエンス振興財団理事長。学士院会員、東京大学名誉教授
板東武彦[バンドウタケヒコ]
公益財団法人ブレインサイエンス振興財団常務理事。新潟大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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