内容説明
子ども虐待について考えてほしい。子どもたちとその家族の姿を知ってほしい。そして、ジソウ(児童相談所)とそこで働く人たちの思いや葛藤を伝えたい。児童福祉司の体験から綴られた50の物語(ショートストーリー)と、子ども虐待と児童相談所の解説で構成しました。ジソウで働く人たちの日常の姿を理解してもらえたらと思っています。
目次
1 ジソウはこわい?!
2 鬼は誰?
3 心に届く言葉は見つかるのか
4 子どものしあわせって
5 行き場を探して
まとめ 児童相談所はこれからどうなっていくのでしょうか?
著者等紹介
青山さくら[アオヤマサクラ]
児童相談所児童福祉司
川松亮[カワマツアキラ]
明星大学人文学部福祉実践学科常勤教授、社会福祉士。東京都に福祉職として就職し、知的障がい児施設、児童養護施設、児童自立支援施設で勤務の後、児童相談所に児童福祉司として勤務。その後、厚生労働省児童福祉専門官、子どもの虹情報研修センター研究部長を経て現職。全国児童相談研究会運営委員、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jackbdc
4
原理的に解決が難しい。問い続けなければならない。苦しい作業だが…。一人の幸福ともう一人の幸福、そして公共の幸福の間にしばしばトレードオフが生じる。幸福の奪い合いの中で弱者である子供は犠牲になりやすい。可哀そうな子供を救う事に異論はない。予防的な介入もあり得るだろう。国民的合意の下で法令も整備されている。問題は、外部の介入が緊急避難にしかならない、根本的な解決に必ずしも繋がらないという点である。技術論ではない。介入後のケア機能不在という構造的な部分にあるのではないか?ダメ親でも親は親、代わるモノは無いのだ。2021/06/26
yunyon
3
今もこの瞬間、虐待に苦しむ子がいたり、産後鬱に悩み我が子に手をかけようとしている母親がいたりするのかと思うと本当に辛い。何かあるとジソウがジソウが…って騒ぐ世間の一員だけど、その中にあるものはこうやって見せてくれないと分からない。もっと丁寧にもっと時間をかけてジソウの本当の姿を伝えてほしい。教室のいじめと一緒で、私たちが見ても見ないふりをしているものがこの世界にはたくさんあること。遠くの国の戦争も辛いけど、隣家にも同じような修羅場があるのかもしれない…2023/02/01
smile
1
怒りを感じる。家庭における性の歪みの問題の大きさ。様々な職種の関わり、もしくは態度が不適切と感じる。親は敵じゃない。きれい事でなく、親を助けたい。2020/03/29
ゆうぴょん
1
ななみの海はやっぱりある意味でファンタジー要素もあったのかな…と思ってしまうほど、現実の児相は厳しい。自動の世界ではないが、福祉現場で働く身としては、すべての国民に健康と最低限の生活を…ということがやはり難しいのかなんとなくわかるだけに切ない。駄目な親でも親に代わるものはない、そしておそらく受け継がれる負の連鎖…。 胸が痛くなる。2022/07/22
葉
0
ソーシャルワーカー(職員さん)ひとり当たりの担当件数は、年間144件+前年以前から継続している案件になるそう(2017年)。児童福祉の分野にももっと人材と予算を割ける仕組みが必要だと感じました。2024/04/10