感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
28
正直、漢詩よりもエッセイが楽しみな小津さん最新刊。ニース在住とあってか、しがらみのない自由さとシンプルな生活感が漂い、小津さんの感性や考え方も時にぐっとくる。そうしたエッセイから続く漢詩がさらに異国かつ時代を超越した風景へと誘ってくれ、寝る前に少しずつ読むのが心地よかった。著者いわく「一本の筋が通っているとは言いがたい」が「記憶と連想の岩肌に沿って、言葉が勝手に思いがけない形をとっている」とのこと。急に断片的な描写が入ってきたり、行き場のないところに放り込まれたりするが、漢詩愛に溢れた素敵な文章に浸った。2026/08/25
kibita
19
小津夜景さんの言葉を自在に操れる才能とその感性にくらくらだ。嵯峨天皇のブランコの詩は浮遊感だけでなく、月明かりの下で揺れたまま帰れない少女のような繊細さ。乙女チックだ。菅原道真の詩が泣けた。仲雄王は豚の肩ロースへの感動を力いっぱい漢詩にし、野村篁園はかつおの刺身をほぼ美術品として詠み、金笠は「正しい」と「誤り」を格子状の文字で永遠に反転させ、詩を演算にした。そして空海、「日本で俺ジャンルの最高峰」。この本が好きすぎて言葉が追いつかない、思わず窓を開けて「小津さん(の文章が)大好きだー」と叫びたいほどだ。2026/05/24
きょ
8
他の著書と同じように、ひとつの章に必ず響いてくる文章がある 並みの感性ではこういうものは書けないんじゃないかと、ただただ嘆息 漢詩ははるかな時を超えて読み継がれてきたが、難解な分野かもしれない けれど小津さんの解釈がで、ひらりひらりと心地よい空の中を漂っているような感覚になる 素敵すぎる2026/05/24
towerofthesun
6
漢詩は好きだが、唐代の律詩や絶句しか興味がなかった。それが筆者の生活感とセットになった地に足のついた紹介を読んでいるうちに、日本人の作った漢詩も気になりはじめた。とくに好みだったのは、野村篁園の「鰹魚膾」という一首。簡潔にしてちゃんと美味そうなのである。そしてここから筆者が導き出した結論は、自身の本棚の本を減らすことなのだ。2026/08/21
みずたま
4
小津さんが読み解く漢詩は自由で、柔らかくて、身近に感じられる。序盤に登場する仲雄王の「豚の肩ロースの歌」には驚いた。まさか豚肉までもが詩になっていたとは。漢詩そのものを知るのも楽しいが、作者のエッセイ部分との関係性から、昔も今も人が感じるものって同じ所があるのだなとしみじみ。国語の授業でもなければ触れることのない漢詩。こうして様々な作品に出会うことで、連なる漢字に時に広大で、時に細やかな世界がぎゅっと凝縮されていることに気づく。それがなんだが愛おしくも思えてくる。2026/08/21
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