出版社内容情報
富士屋ホテルは、明治11年日本初の本格的リゾートホテルとして箱根に開業した。建築道楽だった歴代社長のアイデアと大工による和洋混交の独特な建物群で構成され、平成9年には文化財に指定された。この老舗ホテルには、「営繕さん」と親しみをもって呼ばれるスタッフが在任し、建築物の営造や修繕を行っている。最近では稀有な例であるため、知る人は少ないが、富士屋ホテルが今日もなお創業当時の趣を残している理由の一つは裏方である営繕さんの仕事にある。
本書は、2018年4月から改修のため2年間休業になった機会をねらい、富士屋ホテルの異色を放つ建築としての見どころを、ホテルの裏側となる営繕の仕事とともに紹介する。彼らが手掛けた日々のメンテナンス、また庭園の橋や水車、檜風呂などの大仕事、さらにはこの時期だからこそ垣間見ることができるバックヤードなど富士屋ホテルの表と裏の姿を図版豊富に展開する。おもてなしの空間を支える人々の技と工夫、心意気を伝える一冊。
※本書は2018年LIXIL出版刊「富士屋ホテルの営繕さん 建築の守り人」の復刊となります。
内容説明
えいぜん(営繕)大宝律令にも記載されている古い熟語で、建築物をつくり、直すことを意味する。ホテルにおいては、施設のメンテナンス全般を指す場合が多い。
目次
ホテル探訪(本館;食堂棟・厨房;西洋館;花御殿;意匠)
営繕さんと富士屋ホテル(山口由美)
富士屋ホテルと建物の略年表
営繕の仕事(営繕小屋;バックヤード)
富士屋ホテルの建築をつくった人々(吉田鋼市)
著者等紹介
山口由美[ヤマグチユミ]
ノンフィクション作家。1962年神奈川県箱根町生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。富士屋ホテル創業者の山口仙之助は曾祖父にあたる。海外旅行とホテルの業界誌紙のフリーランス記者を経て作家活動に入る。旅とホテルを主なテーマに幅広い分野で執筆。『ユージン・スミス水俣に捧げた写真家の1100日』(小学館、2013年)で小学館ノンフィクション大賞受賞
吉田鋼市[ヨシダコウイチ]
工学博士。横浜国立大学名誉教授。1947年兵庫県姫路市生まれ。横浜国立大学工学部建築学科卒業。京都大学大学院建築学専攻博士課程単位取得退学。専門は西洋建築史・近代建築史。1985~86年に実施された箱根町立郷土資料館の郷土資料調査事業富士屋ホテル建築調査に協力し、『箱根町文化財研究紀要一九号 富士屋ホテルの建築』にて論考執筆と図面作成を行った。神奈川県の重要建築物の実測調査を継続して行っている。2015年、第64回神奈川文化賞(学術)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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