感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
191
最初は絵と短歌のコラボに浸り、次は歌だけ紙に写して口ずさんでみた。これは仮想現実の青い世界か、それとももう一つの現実か。スイッチを切り替えて貰うような快感があった。《東映のオープニングで波かぶるあの岩がある海に行きたい》…郷愁と似ているけれど微妙に違う。仮想現実の奥から呼びかけてくるもの。《修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ》…眼鏡による変身は一見チープだが、修学旅行との絡みにすごく惹かれる。もう半ばを過ぎてしまった、そして今まで気づかなかった迂闊さ。おじさんの胸もキュンとする。2022/04/18
夜間飛行
182
《金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり》…YMOは7~80年代に流行したテクノポップのグループで、音楽が苦手の私でも知っている。若い人はもしかしたらYMOって何?…と思うだろう。「金星の王女」はそういう若い世代とも取れるが、私はやはり遠い世界から来た人と取りたい。この歌集全体にいえることの一つとして、世代やら何やらといった、常日頃感じるギャップのようなものを突き抜ける爽快感がある。《「坂道の向こうに海があるはず」と言って告白を5分遅らす》…年幾つだろうが、告白のタイミングって難しいよなあと思う。2022/04/22
いちろく
42
笹公人氏による女子学生や若い社会人女性を詠んだ短歌と、北村みなみ氏の歌に合わせた可愛らしいイラストで綴られる一冊。短歌にも詳しくないので、読了後に歌人が男性と知り驚いた。良く言えば女性の様々な日常の一コマを切り取った刹那的なモノも感じるのですが、悪く言えばどれだけ女性を観察しているのですか?と伺いたくなる。特に、学生生活のシチュエーションは著者自身の目撃談を詠んだ様な、生々しさも覚えた。作中の時も様々であり、懐かしい描写から令和のモノまで。特に、ジャスコ、赤電話、999あたりは、その時代を感じた。2022/05/31
翠埜もぐら
20
歌を詠んでいるという気負いが薄く、日常をそっと切り取ったような笹公人氏の歌に、北村みなみ氏の絵はとても合うのですが、あまりにも「そっと」感が強くて、今一つインパクトに欠けていて記憶に残りにくかったです。「土産屋の少女から聞いた海電車ひねもす待てども来ず星の夜」「百時間テレビに青く照らされて少女はついにテレポートす」がお気に入り。2022/05/03
ドラマチックガス
16
短歌界の奇才笹公人さんのよりすぐりの短歌に北村ななみさんが絵をつける。これが最高にマッチしていて素晴らしかった。イメージ通りのものも、思いがけないものも、すべてがこれ以上なくハマって見える。ただ笑えていただけの歌が、絵がつくことでたまらなく切ない歌に見えてきたり。これを相乗効果というのでしょう。90ページからの、見開きで一句書かれており、ページを捲ると見開きでその句の絵がドンッ!! というコーナーがクイズのようで面白かった。傑作。2022/03/27




