内容説明
ソ連から持ち込まれた一枚の白黒写真。夏の陽差しを受け、小川に足をひたしながらおしゃべりする三人の女―植民地朝鮮の「新女性」許貞淑、朱世竹、高明子は、共産主義運動に人生をかけ、世界をまたにかけて激動の時代を生ききった。朝鮮共産主義運動史に埋もれた驚異の女性たちを女性作家があざやかによみがえらせ、韓国で4万部のベストセラーとなった骨太の歴史小説!
著者等紹介
チョソニ[チョソニ]
1960年江原道江陵生まれ。江陵女子高校、高麗大学を卒業し1982年聯合通信社で記者生活を始める。ハンギョレ新聞創刊に参与し、文化部記者となり、雑誌『シネ21』編集長をつとめた。韓国映像資料院長とソウル文化財団代表を歴任し、2019年秋から2020年春までベルリン自由大学に訪問研究者として在籍した。『三人の女』は2005年に執筆を始めたが、二度の公職生活によって中断され、12年をかけて完成された。『三人の女』で許〓文学賞、樂山金廷漢文学賞、老斤里平和賞を受賞
梁澄子[ヤンチンジャ]
通訳・翻訳業。一般社団法人希望のたね基金代表理事。日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェアー
6
朝鮮は国だけでなく、民族の解放を願い、行動する人々の居場所さえ奪っていった。上海、満州、ロシア。人々の妬みや裏切りたちがかき回され、混ざり合って、大きな魂となって、彼女たちに飛んでくる。ごく普通に生きたいのと願うだけの人に、普通でない状況と、お前たちを普通でなくしてやるという思いが、味方であるはずの後ろからも飛んでくるのだ。2023/12/03
Red-sky
3
正直、登場人物全員の関係性は覚えられないし、時々誰と誰が夫婦なんだかわからなくなる時もあるけれど、激動の時代に革命に命を注いだ3人の女性(+その夫や父親などの男性陣)の動きには目が離せずちょっとずつではあるけれど興味を持って読み進めることができた。下巻も楽しみ。もっとこの本が理解できるように歴史も勉強したいと思った。2025/03/17
蝮
0
苛烈な植民地の中でマルクスを信じ、革命に命をかけて生きる女3人。歴史に煌めく登場人物たちの横に、前に、後ろに、いつも彼女たちの存在があった。2025/04/16
ファルコファン
0
朝鮮の近現代史を女性活動家の視点から学んだ。三一独立運動後にいっしょに写真を撮った三人の共産主義女性活動家、朱世竹、許貞淑、高明子の人生を描く。同じことをめざしていたはずなのに、亡くなった場所も時代もそれぞれ。「我々は結局、アメリカを発見できなかったコロンブスだった」が悲しい。2024/09/19
kuronyann
0
戦前、日本で共産党員として活動し若い死を迎えた女性の事は聞いたことがあるが朝鮮での女性党員のことはこの本で初めて知った。上巻を読み終えたところなので作品を読み切った満足感はない。「実存した人物たちを扱っている」(7頁)とのことだがよく調べたものと感心する。ここまでは事柄の羅列状態なので下巻に期待したい。2024/04/23