内容説明
私たちは共に、絶えず声を上げ、お互いを思いやり、しっかりと手を携えて生きていける。韓国SFの話題作『となりのヨンヒさん』著者、チョン・ソヨンによる初の邦訳エッセイ集。
目次
第1部 信念を軽んじる世界で(倫理について;労組が必要な労働弁護士;十三桁の番号で動く人生 ほか)
第2部 発言する女性として生きるということ(話を聞いてくれ;弁護士と女性弁護士;発言する女性として生きるということ ほか)
第3部 私たちが物語になるとき(ここに存在する、ある境界について;雲のふるさと;あなたの濡れた羽根が乾くまで―ジュリー・アンヌ・ピータース著『ルナ』韓国語版訳者あとがき ほか)
著者等紹介
チョンソヨン[チョンソヨン]
鄭昭延。ソウル大学で社会福祉学と哲学を専攻。大学在学中にストーリーを担当した漫画「宇宙流」が2005年の「科学技術創作文芸」で佳作を受賞し、作家としてのスタートを切った。小説の執筆と翻訳を並行する傍ら、延世大学法学専門大学院を卒業し、現在は弁護士としても活動している。“韓国SF作家連帯”初代代表
李聖和[イソンファ]
大阪生まれ。関西大学法学部卒業後、会社勤務を経て韓国へ渡り韓国外国語大学通訳翻訳大学院修士課程修了。現在は企業内にて通訳・翻訳業務に従事。第二回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」にて「静かな事件」で最優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TNdler
4
女性の弁護士かつ作家でもある著者ならではの視点からみた、韓国におけるストライキ・労働組合・労働安全の軽視・パワハラ・非正規雇用をめぐる社会的政治的問題や、女性の発言権を増やそうという試み・ズレた少子化対策に対するフェミニズム的な意見は、映画やドラマなどのコンテンツからでは知りえない悲惨さや現実さがあった。 韓国と日本では共通するような問題点も多く、社会を良くするうえで自分にはどんなことができるのだろうと考えさせられた。2023/03/03
真夏日和
3
素晴らしい出会いってあるんだなと読み終わって息をついた。 チョン・ソヨン作家は前にドキュメンタリー番組で見た人だと思う。 その時は韓国人の弁護士で作家なんだ、ふーんくらいにしか思わなかった。 私には雲の上の人に思えた。 結婚してるひとは勝ち組ってずいぶん前に知り合いだったひとが言っていてそれは確かにそうかもしれないけどこんな風に赤の他人に言えてしまうんやとその人から距離をとった。 結婚も子供もないひとがいるのに同じ女性でそんなことを言えるってなんなんやろと思ったんだった。 2024/04/21
Jessica
3
弁護士/作家/社会運動家である著書の知的な文章が澄み渡る一冊。 まず最初に驚いたのは韓国の住民登録番号制度について。これだけ韓国のエンタメを享受しつつそんな根本的なことも知らなかったのかと完全に無知の知状態です。 2章はフェミニズムについて。『どうして産まないのか』『少子化は国の責任』のページが国は違えど当事者だからこそ刺さりまくりました。2024/03/12