内容説明
2020年韓国の書店員が選ぶ今年の本小説部門受賞作。
著者等紹介
チャンリュジン[チャンリュジン]
張琉珍。1986年生まれ。延世大学にて社会学を専攻。2018年に「仕事の喜びと哀しみ」で創批新人小説賞を受賞し、デビュー。単行本『仕事の喜びと哀しみ』は2020年の「書店員が選ぶ今年の本」小説部門に選ばれた。このほか、2020年に第11回若い作家賞、第7回沈薫文学大賞を受賞
牧野美加[マキノミカ]
1968年、大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学んだ後、新聞記事や広報誌の翻訳に携わる。第1回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」最優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
36
韓国版本屋大賞受賞作。とてもよかった。最近少しずつ読み始めている韓国文学の中でも特に秀逸で心に残った。過度な競争社会、格差、低成長と日本以上に生きづらくハードな韓国のミレニアル世代。よく知らなくてもそこここに感じさせる社会背景だが、訴えかけるでも悲観するでもなく、カラッとどこか明るくたくましさを感じさせる。閉塞感のある中、爽やかにはじける「サイダー小説」と表現されたようだが、微小な泡程度の希望の光を見いだせるのがリアル。韓国文学はまだ未開の分野なので、これからもっと探索していきたいです。2021/04/13
星落秋風五丈原
30
いやあ、なんか強かな家政婦のおばさんに笑っちゃいました。2021/01/25
崩紫サロメ
25
著者がIT企業で働きながら小説を書いていた頃の短編集。チョン・イヒョンが「今日の韓国社会を説明するタイムカプセルを作るとしたら欠かせない本」と評した通り、現代の韓国社会の生きづらさを、時にスリリングに、時にシニカルに、時に温かく描く。「助けの手」という作品が印象に残っている。共働きの夫婦がお手伝いさんを雇うのだが、「奥さんも来年は子どもを作らないと」などと言うお手伝いさんとの間に息苦しさを感じる。家事という「女の役割」からの解放のはずが、束縛に変わっていく。話はなかなか意外な方向に展開して面白かった。2021/10/03
Kanako
23
仕事や結婚など身近にあるテーマを拾い上げて、時に暖かく時に辛辣に、人と人の関係を描いた作品。穏やかな作品集かと思いきや、登場人物たちの人間模様の描き方はリアルで辛辣で、でもどこか愛らしさを感じさせる。日常を描いた短いお話が多いのに先の展開が読めなかったものが多くて面白かった。韓国の若い人々のリアルな暮らしを垣間見ることができた気がする。2024/09/26
ゆきりんご
22
韓国の若者の日常を描いた8編。結婚を巡って、元同僚の振る舞いに戸惑う女性を描いた『幸せになります』。今まで順調に物事が進んできた男性が、知り合いを訪ねた福岡で…。最後はちょっと痛快な『俺の福岡ガイド』。雇う立場と雇われる立場の攻防?を描いた『助けの手』。職場への初出勤の緊張や胸の高まりを描いた『一〇一回目の履歴書と初めての出勤』。異国の地での老人との温かな交流を描いた『タンペレ空港』。淡々と日常を描いているようでいて、意外な結末に驚いたり、考え込んでしまうような問題が含まれていたりで、どの話もよかった。2022/11/06
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