内容説明
生命のありかたから展開してゆく仏教的自由。近代仏教学の開拓者が仏教的解脱の個性を歴史的に解説する。生命の三相である持続(食欲)、拡大(性欲)、自由(遊戯欲)から出発し、宗教意識自体を生命活動の本質から考察。全ての宗教が何らかの形で解脱の要求を背景とするものである中で仏教の解説がもつ個性を明かす。とりわけ大乗仏教へと展開したことの意義を仏教史と他の宗教や思想との対比において示し、そこから見た運命と自由の関係を説く。
目次
第1篇 生命観より解脱問題への進展(生命の本質と人生の意義―特に欲望を出発として;解脱論;禅の種類とその哲学的意義;自力主義と他力主義)
第2篇 原始仏教より大乗仏教へ(原始仏教を終点として主意論の発達;仏教における業観と意志の自由;仏陀の道徳観;大乗的精神;仏教の真如観―特に般若を中心として)
第3篇 現代生活と仏教(現代の宗教的要求と新大乗仏教;仏教思想と現代の生活;親鸞主義と新大乗運動;生活の根本的基礎;災害とその道徳的意義;運命と自由)
著者等紹介
木村泰賢[キムラタイケン]
1881‐1930。インド哲学および仏教研究者。曹洞宗大学、東京帝国大学哲学科(印度哲学専修)卒業。『印度六派哲学』(1915年)で学士院恩賜賞受賞。イギリス留学を経て、『阿毘達磨論成立の経過に関する研究』(1922年)で文学博士号取得。1923年東京帝国大学印度哲学講座教授となる。漢訳仏典のみを資料とする学風を脱して直接原典資料を駆使し新たな学風を興した。東大教授在職のまま1930年急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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