内容説明
時代に対する危機感を抱き、常に抵抗の意志を投げ掛け、多数に迎合することなく、己の立ち位置を問い続ける。絶望を糧として、暗澹たる時代に撃ち込む一行の詩!
目次
1(2020;愚者の方舟;亡國 ほか)
2(Good Afternoon TOKYO;女囚さそり;昭和三十二年 ほか)
3(寒月光領;丘の上の愚者;花、八月の闇 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
70
ディストピアの現代を幻視する歌人。SF的視点が良い。心の襞に触れた作品を書き留めます。「反知性、思考停止の隷属の君はビッグ・ブラザーに愛されている」「今夜限り世界が終わる終わるなら食卓にこのタンポポのお酒を」「宰相は言葉を持たず君臨すかく愚かなる世界の仕組み」「一心にパソコン画面凝視する男女女男男女男メメント・モリぞ」「読み返す「一九八四年」目の前にありてあらざるそのディストピア」「フクシマを忘れることの愚かしさを罪とし罰は永久の耳鳴り」しかし、現実はそれを越えていく...2020/04/13
あや
16
2020年の3月に刊行されて五輪が1年延期になって、その後五輪を詠んだ作品を読み返すと何かを予見しているようにも感じられたり。やはり東京という都市を詠んだ作品に心惹かれる。お父様を詠んだ歌群も好きです。2022/11/16
あや
4
迸るような時代詠、時事詠。ご自身のことを詠んだ歌も。どの歌も素晴らしくて一気に読んだ。あとがきも素晴らしい。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」を86年に読まれてその時はそんなことが現実にあるかどうかと思われたそうだけれど今この時代に対しての危機感というか鋭い警鐘がこの歌集に溢れている。「一九八四年」は私は積読にしているけれど早急に読まねばという気持ちになる。挙げたい歌は多々あれどどれも素晴らしくて挙げるのは難しい。2020/03/12
あや
3
再読。コロナ禍の渦中、都知事選を経て再び読むとまた違った歌が心に残ります。2020/07/12
あや
3
人生で影響を受けた100冊に再登録のための備忘録。2020/03/13