内容説明
そうか、こう読めばキルケゴールが見えてくる。『死にいたる病』をなめるように読む。祈りと涙、苦悶とほくそ笑みが手に取るようだ。文の歩みから、絶望と反抗、転落と解放の息づかいを如実に掘り起こす、中島=キルケゴールの思考のドキュメント。
目次
はじめに キルケゴールを読むということ
序章 死と原罪―「緒言」を読む(ラザロは死にたり;この病は死にいたらず;「人間的」と「キリスト教的」 ほか)
第1章 絶望の諸相と死―第1篇 死にいたる病とは絶望のことである(人間は精神である;精神は自己である;消極的統一と積極的統一 ほか)
第2章 絶望の秘密―B この病(絶望)の普遍性(「不安」という概念;絶望していないこと;絶望は「精神の規定」である ほか)
第3章 意識と絶望1―C この病(絶望)の諸形態(無限性の絶望と有限性の絶望;自己が自己自身になる;可能性と必然性 ほか)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
15
某アニメの影響か「死に至る病とは絶望」というフレーズだけはそこそこ有名なキルケゴール。しかし哲学者の思想を学ぶ上で(哲学史を学ぶことと哲学をするのとは全く異なるという前提で)彼らがその思想を熟成させた時代に思考の基礎となった社会通念や、古の時代に重視されていた信仰的なものについての知識が皆無では、きっと何もわからない。死に至る病は当然のことながらクリスチャン的な価値観を、理解はできなくても知識としてもっていなければ、ニュアンスさえ掴めない。中島先生のキルケゴール解説面白かったです。次回も期待。2023/03/08